薫風自南来「ソーちゃんとねぇ、来たっきりだよ」
「そうか」
「ミツイサン」
一緒に来てくれてありがとう。
※
夏の暑さが長引くようになって久しい。宮城は「こんなに暑いとソーちゃん帰ってくる気なくなっちゃうじゃん」と笑うのだ。
そんな茹だるような暑さの中、こいつら兄弟は生まれてきた。根っからの夏男ってわけだ。
「三井サンの方が夏っぽいよ、暑苦しいし」
「んだとぉ?じゃあおめぇは、すーぐじめじめすっから、梅雨男か」
「うっせ」
なんて、揶揄うけど。こいつが誰より熱い男なのは、オレがいちばん知っている。
「あの夏の話、は、オレが大丈夫になったらするよ」
いつかの日、宮城にそう言われた。だからオレは、宮城が大丈夫になるまでずっと待ってた。なんだかんだで大人になって、宮城はアメリカに行って帰ってきて、オレの隣にいる。
2441