Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    14x321134

    @14x321134

    世界は三リョだけ 🔥14🔥最推し

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💚 💜 🏀 👏
    POIPOI 4

    14x321134

    ☆quiet follow

    大変お待たせいたしました、お題箱リクエスト「(付き合ってない)プロ軸三リョ」でインライさせております。
    まぁた一か月かかってしまって、俺は、ほんまに…という気持ちでいっぱいですが、楽しんでいただけたら幸いです。

    ※モブ視点
    ※ギリギリ付き合ってない(いや多分もう付き合ってるっていった方が健全な気がしないでもないけど、これで付き合ってない方が何というか旨味が増すので付き合ってない)三リョ

    #三リョ

    のちに「伝説」とされる 23時30分、そろそろ入眠準備でもしようかという頃合いに、某アプリの通知音が鳴った。このSNSで通知をオンにしているアカウントなんて一つしかない。私は歯ブラシを口に咥えたまま、洗面台の前でそのポップアップをタッチする。亜音速ばりの反応速度だった。

    「よぉ、思ったよか人いんだな。お前ら寝ねぇの?」

     まさかもまさかであった。我が推しチームの推し選手、14番シューティングガード炎の男こと三井寿がインライをはじめているのだ。ミッチー、あんたこのアカウント動かす気あったんだね……
     何を隠そう、この三井寿という男は、自他ともに認めるSNS音痴でファンの間でも有名だった。各SNSに自名義のアカウントはあるものの、その稼働率といったらゼロに等しい。「スタッフからいい加減に告知くらいしろと怒られた」だのなんだの言って、おそらく送ってもらったであろう文面をそのままコピペしたツイートがバズっていた、のが最近のハイライトか。投稿文の最後に「↑ここまでをコピペしてツイートしてください」と書いてあって笑ってしまった。
     ちなみに、コピペはできるんだ、と思うだろうが、これは前回更新されたチーム公式動画「三井の機械音痴をどうにかする回Part3」で同チームの宮城選手に教わっている。つまり、できるようになった、が正解である。文字の入力もままならなかったPart1の頃からしたら、目覚ましい進歩なのだ。
     ハッと我に返った私は、口に入ったままの歯ブラシをどうにかした後、リビングのソファに陣取った。きょうはこのライブが終わるまで寝られないじゃあないか。

    「なんでー?なんでだろな」
    「目が覚めました。おう、おはよう」
    「珍しいね。そうだな」
    「みっちゃん元気?元気だぞ」

     目についたコメントに適当に返事をしているようで、ということは特に何の目的もなく唐突に始まったライブということか。三井がゲリラライブなんて。
     自宅からの配信なのだろう、ラフな服装で、画角的に床に胡座をかいている。後ろに見えるモスグリーンのもこもこは、ソファの座面かブランケットだろうか。部屋着というか、そういう完全プライベートの公開は珍しい。質の良さそうな、でも適度にテロンとした素材の部屋着は落ち着いたラベンダーグレーで、三井の精悍な顔を和らげつつ品の良さを感じさせた。これ、誰かからのプレゼントだろうな、と直感的に思う。絶対にこんなの自分で買わない、三井は。おそらく三井の身近な親しい人間か、はたまためちゃくちゃセンスの良いファンか。

    「服どこの?服だぁ?これか、知らん、着ろって貰った」
    「ソファ、おしゃれですね。ソファ?……あ~、はは、だろ」

     やはりこの部屋着は貰いものか、着ろって言われたってことは知り合いだろうな。ソファ、じゃない?ベット横とかってこと?いやでもそんなとこで思い立ってライブするような人種じゃないしな……いつのまにか質問コーナーになってるし。本当に突発的にやり始めただけなんだ。
     と、まぁ緩やかに進行していると思われたライブだったが、その瞬間は突如としてやってきた。

    「んん……やば、ねてた」
    「お、起きたか、おしゃれソファ」
    「……ええ、なにこれ」
    「インライ」
    「あんたおれが寝てる側で……普段やんないのに」

     突然、三井の背面のモスグリーンが動き出した、と思ったら、のっそりと茶色い髪の毛が画面に映る。後ろからモスグリーンの布を頭に落とされた三井が、笑いながらカメラを向けた。えっ、人!?と思わずデカい声が出て、その顔を見て二度目の大声をあげてしまった。おしゃれソファが、宮城選手だったのだ。
     宮城リョータ、三井にコピペを教えた人、もとい同チーム7番のポイントガード。同郷のチームメイトで仲がいいとは聞いていたけど、仲がいいってレベルじゃなくないか?こんなに距離が近いなんてことあるか?
     コメント欄が滝のように推移し、私と同じように絶叫した人間が数多いることを察した。当の本人たちはまったりと喋り出している。

    「きょう練習終わりにせっつかれたんだよ。ファンサだファンサ」
    「はっきり言わないんだよそういうことは……うわ、三井ファン多いなぁ」
    「ほら、起きたならみんなにごあいさつしろい」
    「宮城リョータす。ふふ、すごい。コメント流れてっちゃうね」
    「あ、おまえ」
    「んー?……ちょ、なに」

     今度は何をやらかすのだ三井よ。と、スマホに齧りつくように画面を凝視していた私の目に飛び込んできたのは、せっせと宮城に服を着せ直す三井の姿。先程、宮城が起きた拍子に三井に被さったモスグリーンは、どうやら三井の服らしい。大きな布から剥き身になった宮城は、これまたオーバーサイズの黒Tシャツ一枚で、その肩がずり落ちていたのだった。

    「これ、直せ」
    「あーね、はいはい、だめなの?」
    「だめなんだよ」
    「いひひ、はーい」

     オレのなんだからズレるに決まってんだろ、うっせバカ、とか何とか会話するのが聞こえてきたが、これは本当に先輩後輩のやり取りなのだろうか……そしてさっきからメッセージアプリの通知が鳴り止まない。十中八九、同ブースターの友人だろうが、構っている余裕がないのだ、すまない。三井リアコの彼女の心中、推して知るべし。

    「あ~、オレちょっとションベン」
    「きったねぇな!やめてよね!……あ、ねぇ、オレのスマホに連絡きてんだけど。アンタ宛て、マネージャーから」
    「あ?なんもしねぇのに……おまえ喋ってたら?」
    「丸投げ最悪。早く返事してきて」

     スっと自分のスマホを三井に手渡した宮城、もう気にしちゃいけないんだろうな……三井は宮城のスマホを片手に立ち上がる。そのまま部屋を出たようだ、というかトイレに向かったのか。宮城のスマホ持って??宮城は、電話のボタン押すだけだからね!って、おじいちゃんにスマホ貸したみたいになってるけど。
     三井が画面からいなくなって、だんだんとコメントが宮城への質問に代わっていく。宮城はそれに丁寧に返事をした。三井と違って、宮城は割とこういう動画投稿もするし、SNS運営がマメな方だと思う。でも、よく流れてくる宮城の動画は「かっこいい」テイストのものが多いから、この宮城も貴重な姿だろう。彼の眠たげな目と、いつもはきっちりあげている髪が少しだけ下りているのが相まって、雰囲気がだいぶ違う。何というか、幼い感じだ。視聴者数もどんどん増えている。これは宮城ファンが嗅ぎつけて見にきているな。

    「質問?オレに?」
    「なんで三井んちいるの?きょうはご飯食べに来た。あしたオレも三井サンも練習午後からだから」
    「なんで三井サンの服着てるか?オレもう風呂入ったから」
    「あの人の好きなとこか……スリーの得点率、シュートフォーム、あー、あと、リングしか見えてないときの横顔」

    「エピソード聞きたい?」

     なんで翌日の練習が午後からだと家まで飯食いに行くことになるんだとか、なんで風呂まで済ませてるんだ泊まるのかとか、そもそも好きなとこってなんだとか、言いたいことがありすぎるが。どうやら高校時代の三井の話をしてくれるらしい。
     謎の最古参応援団の存在からして三井の学生時代は謎が多く、あることないこと伝説のように語り継がれているので新規情報はとてもありがたい。後輩様様である。

     そうだな……じゃあオフレコってことで、お願いね。と宮城が柔らかい声で語り始める。

     オレがキャプテンになったときね、三井サンだけ最高学年で残ってて。やっぱどうしても上手くいかないじゃないですか、最初は。あの人、あの頃から指導も上手かったんですけど、当時のオレはどうしても素直に言うこと聞けなくて。目の上のたんこぶって言って衝突しながらも、本当は頼りにしてたんです。……なんか恥ずかしいな。
     だから、三井サンと出られる試合が一試合でも多くなればいいって、はは、高校生のオレ健気だよなぁ。結局いままた同じチームになってますけどもね。そんで、冬の寒いロッカールームで何十回目かの喧嘩して、その後、ぶすくれてるオレに向かって、ん、って。ちっちぇー紙袋渡してくるの。なに?って思うじゃん、喧嘩の直後っスよ?
     渋々受け取って開けたら、リストバンドが入ってて。オレ高校の時から試合スタイル変わらなくって、ずっとつけてるんですけど。

    「なに……これ、くれんの?なんでいま」
    「別に、ご機嫌取りじゃねぇよ、でも早い方がいいと思ったから。おまえ、試合では赤いのとか黒いのとかつけるだろ。だからそれは練習の時に使え」
    「なに、願掛けでもしてあんの」
    「……なんかな、ここぞって勝負のときは、お前なんだかんだ自分で何とかするじゃん。そうじゃなくて普通の、何でもないときに側にいてぇなって思ったから」
    「いや……じゃあ、やっぱり、なんでいまなんスか。いるじゃん、まだ」
    「オレ自身は、もうすぐいなくなんだからよ。頼るとかじゃなくていいから、使えよ、オレを。お前の作るチームで勝つためによ」
    「喧嘩、したあとに。そういうこと言うの、反則じゃないんスか」
    「喧嘩じゃあねぇ、話し合いだわ。でも悪かった。いま渡したかっただけだ」
    「……うす。あざます、これ」

     渡されたリストバンドが緑色で、なんだかめちゃめちゃ眩しくて、オレすごく胸がギュってなって、思わず笑っちゃったんだ。人間、わけわかんない気分になると笑っちゃうんだよな……ヤバくない??当時、この人がオレ以外にもこういうこと言ったりやったりしてたら、ほんとにやだなぁって、思ったの覚えてます。あと、いまそんなこと言うなよって、めっちゃ寂しくなった記憶がある。

     へへ、ちょっと喋りすぎちゃったな。

    「宮城」
    「帰ってきた。ほら、返しますよ」
    「や、もう終わる。変なことすんなって釘刺されたし。こんだけやったら文句ねぇだろ」
    「えー、適当かよ。つーかちゃんとみんなに向かって言いなよそれ」
    「止め方わからん。切っとけ」
    「うげ、そういうことすんだもんな。みなさん聞きました?この人こういうとこある……うわ、ねぇ!ここで脱がないでよ!持ってけこれ!」

     宮城のとんでもエピソードに突っ込みをいれる暇もなく、三井が戻ってきた。タイミングが良いのか悪いのか、もう何も分からない。そんな三井は画面にも映らず、部屋着を脱ぎ始めた、らしい。見えないけど。まさかの生着替え、というか、自由人である。お風呂、ってこと……え、そういうことだよね、いまこの場においてはその理由で納得しておいた方が、いいよね?
     三度ざわつくファンたちを宥めるように宮城がライブを締めにかかるが、ぶっちゃけそれどころではない。合間で確認した友人のメッセは阿鼻叫喚である。

    「なんかすんません、三井サン行っちゃったのでこれで……スマホの主いないので、終わりますね。突然の飛び入り、宮城リョータでした、お邪魔しました」
     
     そう言って、配信終了ボタンを押す、その瞬間。ピタッと止まった宮城が、何というか、悪い子の顔をしたのを私は見逃さなかった。宮城はおもむろに、ソファにかかった服に手を伸ばした。その、三井が脱ぎちらかした部屋着を、ちょんと引っ張りながら言ったのだ。

    「あ、この服ねぇ、」

     オレがあげたの。オレも家で色違い着てるの、内緒ね?かわいいしょ♡

     ぷつ、と、切れた配信。三井のリアコが消滅する音を、確かに聞いた気がした。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    14x321134

    DONE大変お待たせいたしました、お題箱リクエスト「(付き合ってない)プロ軸三リョ」でインライさせております。
    まぁた一か月かかってしまって、俺は、ほんまに…という気持ちでいっぱいですが、楽しんでいただけたら幸いです。

    ※モブ視点
    ※ギリギリ付き合ってない(いや多分もう付き合ってるっていった方が健全な気がしないでもないけど、これで付き合ってない方が何というか旨味が増すので付き合ってない)三リョ
    のちに「伝説」とされる 23時30分、そろそろ入眠準備でもしようかという頃合いに、某アプリの通知音が鳴った。このSNSで通知をオンにしているアカウントなんて一つしかない。私は歯ブラシを口に咥えたまま、洗面台の前でそのポップアップをタッチする。亜音速ばりの反応速度だった。

    「よぉ、思ったよか人いんだな。お前ら寝ねぇの?」

     まさかもまさかであった。我が推しチームの推し選手、14番シューティングガード炎の男こと三井寿がインライをはじめているのだ。ミッチー、あんたこのアカウント動かす気あったんだね……
     何を隠そう、この三井寿という男は、自他ともに認めるSNS音痴でファンの間でも有名だった。各SNSに自名義のアカウントはあるものの、その稼働率といったらゼロに等しい。「スタッフからいい加減に告知くらいしろと怒られた」だのなんだの言って、おそらく送ってもらったであろう文面をそのままコピペしたツイートがバズっていた、のが最近のハイライトか。投稿文の最後に「↑ここまでをコピペしてツイートしてください」と書いてあって笑ってしまった。
    4685

    14x321134

    DONEお待たせしました、お題箱リクエストで「フルーツを食べる三リョ」です。

    三井サン誕生日おめでとうございます!!!
    ということで、あと何本か追加しますので気長にお待ちください♡

    一本目:普通にケーキ食っててごめんなさい。
    二本目:ジョジョネタ入れてごめんなさい。メロンだからハイエロファントにしようとして(未遂)すみません。
    三本目:無理やり終わらせてごめんなさい。最後だけカオルさん視点。
    フルーツを食べる三リョ(三本)〈半分より、上等な〉
    【苺・大人、同棲】

     最上の愛とは例えるならば、てっぺんに輝く赤いそれ、なのではなかろうか。

    「あげる」

     とくべつだかんね、と、行儀悪くフォークに突き刺したままのそれをスンとした顔で差し出してくるのは、こいつの照れ隠しの一種。傍から見たら、不機嫌なのかな、とか、いやいや寄越されても、とか思われるだろうその顔を、オレが愛おしく思うようになって何年経っただろう。この顔が照れている顔だと気付いた日から数えたら、もう両手でも足りない年月だ。
     それだけの日々を宮城と過ごし、今年もまた一つ歳をとった。宮城の隣で。

    「三井サン、今年のケーキは何にしますか」

     日頃、オレのことを名前で呼ぶことを覚えたこいつが、誕生日のときだけは「三井サン」と呼ぶ。あの頃と同じだけの質量でもってしてオレを呼び敬語を使う。
    3935

    14x321134

    DONE大変お待たせしました、お題箱リクエストで「珍しく弱ったリョをデロデロに甘やかす甘々三リョ」でございます。
    ひと月も経ってしまいました、申し訳ないです…

    いつも通りだらだらと長いポエムになってます(すけべに至らずリベンジしたい気持ちはある)設定をきちんと決めてないので雰囲気でふわっと…

    こんな感じでスローペースにはなりますが、お題箱にネタなど投げていただければ喜んで書きます〜〜〜🫶
    いつの日か、あなたに還るまで「ねぇねぇ、次みっちゃん来るの、いつ?」

     夕飯後の食卓で、留学前の必要書類に目を通していた。母ちゃんがいる内に、サインだの何だの貰わなければならないから。やることはいつも山積みで、いくら時間があっても足りない。でも、焦ってることを素直に吐露するには、まだ心がおぼつかないでいる。
     心が急いているのが分かる。煩わしいことに、こんな風にどうしようもなくなったときでさえ、ふと、あの人の顔が浮かぶようになってしまっていた。
     そんな矢先、アンナに話しかけられて、咄嗟に出た言葉は思うような優しいものではなかった。

    「あ?なんでお前が三井サンのこと気にするわけ」
    「はー?別にぃ??最近来ないなって思っただけじゃん。リョーちゃん、感じ悪ぅ」
    3408

    related works

    recommended works