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    FGO二次(マリーとエリセ中心/基本CPなし/書きたいものによって少し恋愛寄りの味つけあるかもですが個人的には基本CPにならないものとして書いてます)/自分の見返し用

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    絆15のマリーがもしぐだ子と共にバッドエンドを迎えるならの落書き、当然シリアス、細部詰め切れてないので解釈甘、ちょっと百合風味

    オートクチュールの海辺にて「そう、マスター、そういうことなのね」
     心が壊れてしまったのだと、理解するのには数秒とかからず。被っていた帽子を手に取って掻き抱いた。
     美しい夕陽を眼前に臨む。夜の帳がもうすぐ訪れようとしている。
    「力を貸したいと願ったあなたが、望むのなら」
     愛し子の結末には手を出せなかったけれど、今目の前で泣くマスターの手は取れる。その額にベーゼを一度。ぽろぽろ溢れていた涙が止まって、その潤んだ目がマリーを見据えた。
    「わたしには、慰めの言葉はきっと言えないわ。けれど、他でもないマスターが望むなら、わたしは」
     だって彼女は、まだ生きている。既に終わってしまった息子とは違って、確かにここに存在する人。
    「世界を見捨てたあなたを誰が罵っても、わたしだけは、」
     あなたと共に、眠りましょう。
     ただし連れて行くのは、その感情だけ。
    「一人で死ぬのは、初めてね――」
     上手く首を斬れるかしら、震える指には気づかないふりをしてマリーは静かに目を閉じた。

     喉の渇きで立香は目が醒めた。
     いや、起きられるはずがないのだ。死んだはずなのだ。全て終わらせたはずなのだ。
    「いない……」
     隣で倒れていたはずのマリーは、欠片でさえ残っていなかった。
    「なん、っで、なんで、ずるい、ひどい、なんで!」
     叫んだって彼女は帰ってこないのだ。仄暗い、那由多の闇の中から立香の全てを連れ去ってしまった。心中できないまま、一人取り残された彼女は空っぽの胃から呪詛を吐き続ける。
     一人で死ぬ勇気がないことを見透かされた。死ぬことは怖くて、でも死にたい。
     ああ、でも、彼女が待っているのなら、この死体の山の先は百合の花で舗装されているかもしれない。それは全て、造花の海だろうけれど。
    「地獄で待っていて、私の王妃様」
     ああきっと、私が眠る墓標には、彼女はいないだろうけれど。隈に埋もれて濁った瞳が、煌びやかな泡沫の星を飲み込んだ。
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