今もきっとそこにいる今日も空は抜けるように青い。あの時の空も、青かった。ダークブルーには程遠いが。
タブロイドはもう居ない。
それをまだ自分は理解しているようで理解していない。認めていない。認める気はサラサラなかった。しかしわかっている振りをしている。そうしないとうざったいくらい直ぐに周りに悲壮感が漂うからだ。
トリガーは賢い。カウントが以前言ってくれた。賢い自分は物分りが良くなければならない。タブロイドは死んだ。それをもうきちんと整理しているはずだ、そう思わせなければならないのだ。
けれど時折口からはタブロイド、と漏れ出てしまう時がある。そんな時周りはとても悲痛な目で自分を見る。そう思うなら放っておいて欲しかった。
「……トリガー」
「なに」
「……」
「わかってるよ」
そう、そしてわかってると言えば、みな一様に安心するのだ。しめたものだな、トリガー。
お前らに何がわかる。心の底ではそう思いつつも表面上ニコニコとしてさえいればトリガーは大丈夫、ちゃんと受け入れている、と思うらしかった。
そう簡単にいくものか、心の中で毒づく。お前らの中ではたまたま一緒になった同僚だろうが自分には。自分には大切な存在だったのだ。それを忘れられるものか。
お前らには一生分からないだろうな、とぼそりと呟く。
「トリガー?」
「なんでもないよ」
未だタブロイドの死を引き摺り、忘れられずにいる自分は否が応でもタブロイドを置いていってしまう。それだけは避けたい。忘れたくない。忘れるものか。改めて強くそう思いながら自分を呼ぶカウントの背を追いかけた。