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    case669

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    どう話に組み込んでいいのかわからなかったレオジャミの風景

    ##レオジャミ

    ぽっかりと床の上で切り取られたオレンジ色。
    昼間は生徒で賑わう校舎も、夕暮れ時ともなれば静まり返っていた。
    明かりもつけず、レオナと、ジャミル、二人きりの教室。
    暗闇の中で唯一明るいのは窓から床を射す真っ赤な夕焼けだけ。
    「これが、俺の王国だ」
    静かに真四角の夕焼けを見下ろすレオナが言った。
    ジャミルの腕でも簡単に収まってしまいそうなほどに小さな小さな王国。
    それだけが全てだとでも言うようなレオナの顔には、怒りも、悲しみももうなかった。
    ただ静かで、凪いでいて、からっぽだった。
    それでも、さも大切そうに切り取られた夕焼けを見下ろしているから。
    ジャミルが、ぬぅっと無遠慮にオレンジ色の上へと足を乗せる。
    まるで踏みつけるような行為にレオナが止める間もなく、オレンジ色の中に踏み入ったジャミルはそのまま小さくしゃがみ込む。
    たったそれだけで、ジャミルの影がレオナの王国を黒く塗り潰していた。
    「もうここ、俺でいっぱいですね」
    そう言ってレオナを見上げて笑ったジャミルの顔が、あまりにも、レオナのすべてを奪うから。
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    case669

    MEMOどうせその気もないくせに
    アデレイ
    「君、結婚する気ない?」
    帝国宰相の部屋で、たった今まで肌を重ねていたアーデンが朝食のメニューでも尋ねるような気安さで問う。この男の気紛れでベッドに引きずり込まれ、レイヴスの心を一切無視したこの関係に愛も情も無いが、それでも急過ぎる話題に流石に神経を疑う。
    「……必要性を感じない」
    「そんなこと無いでしょ。将軍になりたいのなら、必要じゃない?後ろ楯」
    言いたいことはわからなくもない。皇帝と貴族が支配するこの国において、属国出身の人間の立場は最底辺にある。本来ならば軍に入っても生涯下級兵士のまま終わる筈のレイヴスが准将の地位にまでのしあがることが出来たのは恐らく、アーデンが何かしらの思惑でもって介入したからであって、レイヴス一人の力では到底なしえなかった。だが逆に言えば、アーデンが望まなければレイヴスは将軍になれない所か今すぐ殺される可能性だってあるのだ。たかだか貴族の後ろ楯くらいでアーデンの気紛れを止める事など出来ない。
    それをわかっていながらこうして問う意味は、きっとただの暇潰しなのだろう。わざと毛を逆撫でしてレイヴスが荒れる姿を楽しむ趣味の悪い遊び。まともに付き合うだけ無駄だ。
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