「何故俺を選んだのですか?成績は悪くないとは言え、もっと優秀な二年生は他にもいるでしょう」
「……去年のマジフト大会。入学して間もないってのにテメェはレギュラーにいたな?」
「は?……ええ、まあ、スカラビアはマジフト部員も少ないですし運動神経が良ければ一年でも、」
「最初は一年坊主が緊張で動けなくなってるんだと思ってた。だが実際は本来二、三年にも引けを捕らないプレイが出来る癖にテメェは適度に手を抜いて一年生らしく動いていた。違うか?」
「そんな買い被りですよ。俺は、」
「極めつけは最後のパスだな。焦ってつい「自分ならギリギリ追い付けるパス」を出した。実際には大暴投として扱われたが、お前があの三年生の位置に居たなら十分追い付く自信があったんだろ?」
「違いますよ、本当に俺のミスで、」
「俺は目が良いもんでな。それまでどれだけ危なっかしいプレイをしても平然としていたテメェがその時初めておっかない顔で三年の事睨んだのを見たぜ。あれはどう見ても自分のミスを悔しがる顔じゃなくてアイツが追い付けなかった事に苛立ってる顔だったな」