真夜中の台所「五条術師、お疲れ様でした。ゆっくり休んでくださいね」
「うぃーす……」
車の外に出ると、五条は冷えた空気に身を震わせた。時間はもう23時をまわっている。もう3月とはいえ、夜はかなり気温が下がる。早足で寮へと歩きだした。
約一年前に呪術高専へと入部してから、任務に授業にと忙しい日々を送っている。時には今日のように、寮へと戻るのが深夜になることもあった。いたいけな青少年をこき使って、これって労働基準法とかに引っかかんねえのかな、と心の中で独りごちる。
今日の任務には少々手こずった。夕方から現場に行って待機していたのだが、窓の報告と実際の呪霊の出現条件が異なっていたらしく、肝心の呪霊がなかなか現れなかった。高専に確認の連絡を入れたり、何度か別の方法を試してみたりしながら補助監督と一緒に待機すること実に4時間にものぼり、五条は今日は夜の食事も取れずじまいだった。それで寮に戻るのがこの時間になってしまったのだ。
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