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    g_negigi

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    アオハル五歌。任務から夜遅く帰ってきた五のために、歌が夜食を作ってやろうとしますが……
    最初の部分だけ。

    ##五歌

    真夜中の台所「五条術師、お疲れ様でした。ゆっくり休んでくださいね」
    「うぃーす……」
    車の外に出ると、五条は冷えた空気に身を震わせた。時間はもう23時をまわっている。もう3月とはいえ、夜はかなり気温が下がる。早足で寮へと歩きだした。

    約一年前に呪術高専へと入部してから、任務に授業にと忙しい日々を送っている。時には今日のように、寮へと戻るのが深夜になることもあった。いたいけな青少年をこき使って、これって労働基準法とかに引っかかんねえのかな、と心の中で独りごちる。

    今日の任務には少々手こずった。夕方から現場に行って待機していたのだが、窓の報告と実際の呪霊の出現条件が異なっていたらしく、肝心の呪霊がなかなか現れなかった。高専に確認の連絡を入れたり、何度か別の方法を試してみたりしながら補助監督と一緒に待機すること実に4時間にものぼり、五条は今日は夜の食事も取れずじまいだった。それで寮に戻るのがこの時間になってしまったのだ。

    「あー疲れた……」
    自室のドアを開けると、そのままベッドへと真っ直ぐに進み、ぼふっと倒れ込んだ。そのまま仰向けになる。
    「はー……」
    言葉にならないため息が漏れる。瞼がすでに重い。シャワーも浴びてないし寝巻きに着替えてもいないが、このまま眠ってしまおうか。そう思って目を閉じた。

    グ〜〜〜〜〜ッ

    自分の腹の音を聞いて、五条はバッとと飛び起きた。
    ダメだ。疲れてるけど、眠いけど、今は空腹が勝ってこのままでは眠れそうにない。とにかく何か腹に入れなければ。
    ベッドから降り、備え付けの冷蔵庫の中身を確認する。あいにく食料をあらかた使い尽くしていて、入っているのはちょっとだけ残った牛乳と、半分使った玉ねぎだけだった。
    「なんもねえ……」
    五条はがっくりと肩を落とした。

    「傑ー、傑ー。起きてるー?」
    ドンドンと五条は親友の部屋の扉を叩いた。仮に夏油が寝ていたとしても、これだけの音がすれば普通に起きる。
    ガチャっと扉が開き、思いっきり迷惑そうな顔をした夏油が顔を出した。
    「何……」
    「あ、ごめん寝てた?」
    「見ればわかるだろ……」
    「悪い悪い。あのさ、傑なんか食うもん持ってる?」
    「は?」
    「俺今任務から帰って来てさ、夕飯食ってねえんだわ。部屋になんもなくて、恵んでくんない?」
    「……ちょっと待って……」
    夏油は一旦部屋の中に引っ込んだ。そしてもう一度ガチャっと扉が開くと、夏油は即席の袋麺を五条に手渡した。
    「これでいいだろ」
    「おっ、サンキュー傑。持つべきものは親友だな」
    「……おやすみ」
    それだけ言うと夏油は扉を閉めた。よっぽど眠かったらしい。
    とにかく夜食をゲットした五条は、早速袋麺を調理すべく共用のキッチンへと向かった。

    「あれ」
    共用キッチンにたどり着いた五条は声を上げた。このキッチンは男子寮と女子寮の中間点にあり、男女どちらも使えるようになっている。
    時間があればここで自炊をする学生が多く、ちょっとした学生同士の社交場になっていた。
    とはいえ普段は真夜中に人はいないのが普通だが、今日はこうこうと灯りがついている。
    「歌姫。何やってんの」
    「五条。あんたこそ何やってんのよ」
    4年生の歌姫がテーブルに座り、飲み物を啜っていた。雑誌を広げて読んでいたようだ。
    「今まで座学の課題やっててね。気分転換にコーヒー飲みに来たの」
    そう言って歌姫はコトン、とマグカップを置いた。
    「あんたは?夜食?」
    「そ。任務のせいで夕飯食いはぐったから、これ食いに来たの」
    そう言って五条は手に持った袋麺を見せる。歌姫は驚いていた。
    「まさか、今帰ってきたとこ?」
    「そだよ。青少年をこき使いすぎだよなー」
    五条はそう言いながら戸棚を開けて、調理するための片手鍋を探した。歌姫も立ち上がり、五条と一緒に戸棚をのぞいた。ふわっと歌姫の髪からシャンプーの匂いがして、五条はちょっと変な気分になる。
    「あった」
    ちょうどいい大きさの鍋が見つかり、それに水を入れようとした。
    「ちょっと待って。それ、そのまま食べるの?」
    「そのつもりだけど」
    「あんた、夕食も食べてないんでしょ。だめよそれだけで済ましちゃ」
    「でもこれしかねーし」
    「ちょっと待ってなさい」
    そう言って歌姫はパタパタとキッチンを出て行ってしまった。

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