塩を少々 何なのだろう、この状況は。
眼前に広がる情景に、ダルニスはそう思わざるを得なかった。
自分の家のダイニングテーブルに我が物顔で座る昔からの友人と、青い肌に朱い二角を冠した魔獣の男が遠慮も無く座している。
その様子は、この家の主ダルニスにはとても奇妙なものに映った。
事の発端は友人であるアルドが何気なく、時を駆ける旅の途中で仲間になった魔獣の男に、友人の家に泊まりに行った翌朝に出されるトーストが旨いと話をしたことだ。
その魔獣はことさらそのトーストという食べ物に興味を持ち、是非食べてみたいからその友人の家へ連れて行け、と詰め寄ったという。アルドの方にも断る理由は無いから連れてきた、ということだった。
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