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    じろ~

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    じろ~

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    デリザスタくんに色々言われてちょっと考え込んでしまう兄さまと、あんま気にしてないフィンくんがポソポソ話しているだけのSSです!
    人それぞれ別の優しさがあるよねって感じの話

    #エイムズ兄弟
    ##エイムズ兄弟

    それを人は優しさと呼ぶ「へえ、随分と趣味悪りぃことしてくれるじゃねえの。ここのトップはよっぽど死にてえんだな?」
     おちゃらけた口調と相反して、その声には聞いたものをゾッとさせるほどの殺意と憎しみが込められていた。尖った歯を剥き出しにして唸る彼に、レインは全く動じることもなくこう返す。
    「オレが来たのはお前の監視のためだ。くだらねえ話を聴きにきたわけじゃねえ」
    「そうかよ。オレは今すぐにでもテメェのムカつくツラぐっちゃぐちゃにしてやりてえけど」
     目の前の彼——デリザスタは衝動のままレインに襲い掛かろうとする。しかしその身を縛る数多の拘束具と周囲の刑務官が動きを抑え、行動は失敗に終わった。彼はギラついた目でレインを見据え、低い声を出す。
    「言ったよな? オレはお前らを必ずぶっ殺す。生まれてきたことを後悔するくらい細かく切り刻んで、人生最大の苦しみを味合わせてやる。テメェの大事な弟にも伝えろよ、首洗って待っとけってな」
     それにレインは何も答えず、目で刑務官に合図した。それを受けた刑務官達は粛々と準備に取り掛かり、重罪人デリザスタの検査が始まる。固有魔法やその他能力を徹底的に調べ上げるためだ。
    「つーか今日ソバカスくんはいねえのぉ?」
     検査されながらデリザスタがそう言う。答える必要もないから黙っていると、彼は額に青筋を立てる。
    「ま、どっちにしろ殺すからいいけどよ。アイツ一人なら一瞬で——」
    「それ以上余計な口をきいてみろ。今度はその汚え舌諸共吹っ飛ばしてやる」
     レインが語気を強めてそう返すと、デリザスタは肩を小刻みに震わせて笑った。
    「真面目くんはホンット弟大事にしてんのなぁ。でも良いのかなあ? お前のそれって呪縛じゃねえ?」
     デリザスタは笑い続けている。レインが睨むと、彼はその視線を受けて目を細めた。
    「お前ら、すっげえ気持ち悪りぃよ。ちょっと会話したくらいで分かり合っちゃって、サブイボ立つわ。弱〜い弟くんに絆された、かわいそーなお兄ちゃん。絆と絆すって全然違えんだよ、知ってた?」
    「……何が言いたい」
     そう返すと、デリザスタはますます大きな声で笑った。
    「さあな? 自分で考えればぁ?」
     ゲラゲラと笑い続ける彼に、レインは眉間の皺を深める。
     レインが何か言う前に検査が終わったことを告げられ、デリザスタは牢獄に戻されて行った。
     
     
     ○ ○ ○
     
     
    「兄さま、どうしたの? なにか悩み事?」
     その声に、レインは目の前の弟に視線を戻した。フィンは大きな瞳に心配の色を浮かべて、レインの顔を見つめている。
     顔に出したつもりは無いのに、隠し事ができないなとレインは思う。また元のように話をするようになってから、フィンは今までのオドオドとした態度が嘘のようにハッキリと兄に物申すようになった。
     レインは弟を心配させないために、デリザスタのことは伏せながら考えていたことをポツポツと言う。
    「お前と……距離を置き過ぎていたと、考えていた」
    「……」
    「後悔はしていない。必要なことだったと今でも信じている。しかし……ひとりよがりだったとも思ってな」
     レインはそこで言葉を切る。デリザスタの言葉が、頭の中に響いている。
     ——それって呪縛じゃねえ?
     「絆」と「絆される」は違う。なるほど、そのとおりだ。
     自分の、言うつもりのなかったあの時の言葉が、少なからず弟を縛り付けているのではないか。
     理解をすることを求めてしまったのではないか。
     
    「あれはね、僕、今でも根に持ってるよ」
     あっさりと言われたその言葉に、レインは虚を突かれ瞬きした。
    「そうか……」
     自分がしたこととはいえ、胸が痛む。そのレインの様子に気が付いたのか、フィンは明るくこう言った。
    「でもね、今こうして取り戻そうとしてくれていることが何より嬉しいから、それでいいんだ」
    「……フィン」
     レインが口を開きかけると、フィンは「あっ」と付け足した。
    「でも二度とやらないでね! またやったら僕怒るからね! 兄弟なんだからちゃんと相談してよ!」
    「……ああ、分かっている」
     胸に温かいものが広がっていくのを感じながら、深く頷く。弟は笑って、歌うように呟く。
    「兄さまは厳しい人だもんね。すっごく」
    「……」
     それにレインは苦笑する。確かに自分は決してとっつき易い方ではないだろうが、弟にまでそう言われるとは。
     しかし、フィンは首を振るとこう続けた。
    「悪い意味じゃなくてね。自分に対しても人に対しても、ちゃんと厳しくいられるって本当にすごいと思うんだ。相手を思って突き放すのは、凄く勇気と覚悟が必要でしょ? 兄さまはそれができる。行動に移せる」
     柔らかい声で、彼は言う。レインはそれに目を見開いた。
    「お前は……そう思ってるのか」
    「うん」
     当然のように頷いて、フィンは笑う。
    「僕の周り、そういった強い人が多いんだよ。例えば、マッシュくんはグーパンで心の壁をぶっ壊す人だし、ドットくんは友達のために、自分のことのように行動できる人」
     その言葉に、レインは黙って耳を傾ける。
    「レモンちゃんは相手に何でもしてあげられる人で、ランスくんは何でも捧げられる人」
    「それは……似ているが違うのか?」
    「全然違うよ。前者は自分が持ってる物を分け与える感じで、後者は相手に全部あげちゃう人」
     クスクスと笑い、フィンは最後にこう締め括った。
    「みんなすごいんだ、本当に。僕の自慢」
    「そうか」
     レインは微笑んだ。小さかった弟がこんなに大きくなり、そして強い絆を育んでいる。
     レインはフィンに向かって、こう言った。
    「お前は、周りをしっかり見ている奴なんだな」
     今度はフィンがキョトンとした顔をする。一瞬の後、彼は気恥ずかしそうに微笑んで小さく頷いた。
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