俺とお前の幸せオレの名前は流川楓。湘北高校元バスケ部。今はアメリカの大学に通って、プロデビューを目指している。
これはオレと、桜木花道という、オレにとって唯一無二の男の話だ。
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オレはもともと、桜木のことは嫌いじゃなかった、と思う。「と思う」としか言えないのは、「今思えば」という注釈がつくからだ。あの頃は、文句ばっかり言ってうるせーし、天才天才と素人のくせにうるせーし、なぜかオレに突っかかってきてうるせーし。とにかくうるせー奴だと思っていた。
でも、オレに何度も勝負を挑んでくる奴は初めてで、それが新鮮だった。中学の頃はオレはキャプテンをやっていて、部員ともとくに問題なく接していたが、練習中はちょっと壁があったりした。一緒にコートの中にいるのに、遠巻きに見られているような、そんな感覚。桜木みたいに、あからさまに張り合ってきたり、倒してやると面と向かって言われたことはなかった。
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