めくるめく僕らの出会い 夜の空気はすこし重い。
ひいやりとした風が水をふくんで湯あがりの髪にまとわりつく。
汗なのか、ぬぐい残しの水滴なのか、短く刈ったばかりの髪からしたたるものがある。肩にかけたタオルでそれを拭きつつ三井は合宿所の庭に出る。
盛りをすぎた紫陽花の茂み、そのまえに見知った姿があった。
薄闇のなかにぼんやりと白いTシャツが浮かぶ。木暮と呼べばふりかえる、その胸のあたりには妙なうさぎの柄があるからつい笑ってしまった。
「風邪引くぞ」
肩がけにしていたタオルを放り投げれば、木暮はひょいと左手でそれをつかむ。その手のひらは昔よりもずいぶんと器用になっていて、取り落とすかもしれないとしかけた心配を三井はそっとひっこめる。
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