検査のあとで 検査結果の用紙に目を通して、ローテーブルの上に置く。もう何度見返したかわからない。真田はソファベッドに寝転がって、天井を眺めた。
「わかってはいるんだがな」
どうしようもない、掠れた声が喉から漏れる。我ながら情けない。
米国では、クエイド大学病院で世話になっている。今日の診察中、担当医は検査結果を渡しながら「前回より、数値はよくないですが」と前置きして話し始めた。
自分の目は数字の一覧に釘付けになる。「読める」というのは残酷なことだ。担当医の解説を待つよりも先に、自分の体の状況が数値からリアルに推測できてしまう。
「大丈夫ですか?」
担当医の声に「問題ない」と顔を上げて答える。いま、全く解説が聞き取れていなかったが、英語だったからではない。おそらく。
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