「は…………、」
──から続く「じゅん」の音はごくり、と喉の奥に飲み込んだ。
俺が風呂から上がるのをリビングのソファで待ってくれていた夏準の首がかくり、と揺れるのが目に入ったからだ。ちらり、と時計に目を向ける。普段であればとっくのとうに夏準は寝ている時間だ。
夏準がリビングで船を漕いでいるのはかなり珍しいのだけれど、それほど眠たかったのだろう。遅くまで俺の用事に付き合わせてしまったことに申し訳なさを覚えるが、夏準はそのことに関して俺に謝罪を求めていないということは分かっているのでぐ、と押し止める。
気持ちよさそうに寝ているとはいえ、ここで一晩過ごしたら身体を痛めてしまうだろう。俺が夏準をベッドまで運ぶというのがベストの選択肢だと思うものの、残念ながら俺には意識がない状態の夏準をベッドまで運べるほどの筋力がなかった。
1185