一人が持ち運べれるサイズのコンテナが山と積まれた物置部屋の床の上に、ヒースクリフは横たわっていた。
後頭部の裏側に沿えた両手を枕代わりに仰向けの恰好で寝転がる姿からは、何もストレスを感じていなさそうな穏やかな印象を抱かせる。
以前、暇を持て余したヒースクリフが”廊下の向こう”へうっかり接触してしまわないよう慎重に歩を進めながら探索をしているうちに見つけたのがこの物置部屋だ。
何を保管しているかは箱を開封しない限り、識別できない。かといって許可なく漁れば自称天才の彼女や案内人にこってりとしぼられること間違いなしなので、触らないでおくのが無難だ。
それに、外からの影響をあまり受けない仕様がここにも反映されているようでとても過ごしやすい。空気に含まれた水分が肌に張り付くようなジメジメした感覚はなく、数分過ごしただけで飲み物が欲しくなってしまうぐらい乾燥もしていない。
2090