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    mbyu6182

    @mbyu6182 私はめんだこ。人見知り過ぎて交流もリスインも頼めない童顔アラサー殺すぞ吾/何でもありの雑食/腐・夢・18↑・G/地雷の多い方と未成年は踵を返すがよろし/落書きや文章等々/FRB,RT,リプご自由に/無言失敬。
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    D:@mendako_disney

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    教材配布ができたらいいのに。

    ※CP要素は低めですが描写あります※

    ##悪魔執事はダウナー系アラサー主と共依存する
    #aknkプラス
    aknkPlus
    #aknk夢
    #ミヤ主

    御教材 ある日、主が欲しいものがある、と言ったのは、かなり珍しい事だ。
    「活版印刷機が欲しいんだけど」
    そう告げられたナックは、少しの間、思考が停止した。
    「えっと…な、なるほど、印刷機ですか。何にお使いになるのでしょうか?」
    「良かった、この世界はやっぱり活版印刷なんだね」
    「そうですね、私たちが住む中央の大地を中心に、印刷技術は活版印刷が主となっております」
    「でもまぁ、印刷機なんて産業用だよねぇ」
    「そうですね…個人的に御使用になる事は不可能ではございませんが…主様は印刷機を何にお使いになるのですか?」
    「そうだよね、高いよねぇ。そんな予算無いよなぁ」
    「いいえ、このナック、主様の御所望とあれば、何でも手に入れましょう!」
    「いいの、要らない。言ってみただけ。この世界の印刷技術が知りたかったの」
    「そうなのですか…?」
    「うん、そうそう。だから、気にしないで。」
     それから主は、自室に篭もる時間が多くなった。何かを作っているらしい。時折、バスティンから木片や彫刻刀を借りているらしかった。元々、主は手先が器用だ。何かと自分で作ってしまう所がある。裁縫を除いて。
     そして、しばらくして、海綿を探している、という話だった。ロノからストックを貰うと、今度はインク、だそうだ。何を作っているのかはよくわからないが、それはきっと、素敵なものなのだろう、と、執事たちは黙って見守っていた。
     ある日、主はミヤジを部屋に呼んだ。きっと、ついに完成したんだ、そんな期待が執事たちの中をかけ巡る。なかなかの時間を費やして主が作っていたのは、印章のような物だった。
    「これね、私の世界ではスタンプっていうの。これを、こう…文字列を並べて、インクを染み込ませた海綿に押し付けて、紙にペタッてすれば…ほら、できた」
    「これは…主様はやはり凄いね、こんな物を作ってしまうなんて」
    「不格好だけどね。これで、自由に教材を作れるし、量産できて配布できる。書籍が買えない子にも、ミヤジが不在の時だって、勉強をさせてあげられるでしょ。」
    既に仕上がっている増刷されたプリントを見て、ミヤジは言葉に詰まった。自分の事は怠惰なのに、他人に対しては身を削る事も惜しまないのだ。
    「プリンター無くて手書きとか、辛過ぎるんだもん。作っちゃえば早いし」
    丁寧に挿し絵まで入っており、それも手彫りだった。自ずから描いた絵を版画にしたのだろう。
    「主様は…本当に…」
    主の顔を見ると、隈が浮かび上がっていた。思わずミヤジは主を抱き締める。自分より何倍も小さい身体、それは時に考えもつかない事を生み出す。子供が嫌いだ、と言いながら、こんな事をするのだ。
    「主様は優しいね…優し過ぎるよ…私は主様が心配だ、私にとって主様は大切なんだ…失いたくない」
    大袈裟だな、と主は豪快に笑う。
    「下準備はその後を楽にするための必須アイテムだよ。これからの未来を担う子どもたちにはちゃんと、思考力を身に着けて欲しいからね。思考力は教養があってこそだし、教養は教育が基盤だ。」
    主は少し真面目な顔をする。
    「世界が賢くならなくちゃ。愚行で、私の可愛い可愛い大切な執事たちが蝕まれるなんて御免だからね。」
    なんて人なのだろう、とミヤジは思う。これも全て私利私欲だと言い張る主に、どんな言葉を返すべきか、彼は手札を何も持っていなかった。



    END 2023.10.15
    改定 2023.11.04
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    「おかえり」ユーハン夢。
    予定の時間を過ぎても帰ってこない主様を待ち続けるユーハンの話。

    翌朝、ほかの執事からもユーハンがずっと待ってたと話を聞いて、主様は某ワンちゃんを思い浮かべたとかいないとか。
    待てと言うならいつまでも 主人の帰宅時刻五分前になったのを確認し、ユーハンは出迎えのため本邸の玄関へ向かった。
     今朝、主人は「帰宅はいつもどおりだと思う」と告げ出掛けていった。彼女が「いつもどおり」というときは、十分から二十分くらいの誤差はあるものの、だいたいこのくらいの時間に帰ってくる。
     ユーハンは姿勢よく立ったまま、主人の帰宅を待った。だが、十分経っても、二十分経っても、彼女が戻ってくる気配はない。尤も、不思議な指環の力で二つの世界を行き来する彼女の帰還は、予兆も気配もなく、突然であるのが常なのだけれど。
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    ※秋のホーム会話のネタバレを一部含みます
    向こうでいろいろあった主様が、バスティンと馬に乗っているうちに元気を取り戻す話

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    安息の地を探して 天高く、馬肥ゆる秋。
     近頃の馬たちは元気いっぱいで、よく食べ、よく走り、よく眠る。前後の話の流れは忘れたが、先日バスティンは主人にそんな話をした。
     彼女がいたく興味を引かれた様子だったので、ならばとバスティンは提案したのだ。次の休日に、馬たちの様子を見に来るか、と。
     それを聞いて、元より動物好きの主人は目を輝かせた。馬たちのストレスにならないのなら、触ったり乗ったりしてみたい。そう話す彼女はすでに楽しそうで、無表情が常のバスティンまで、つられて笑みを浮かべてしまうくらいだった。
     だというのに――これは一体、どうしたことだろう。
    「……主様」
    「あ……うん。ごめん、ちょっとボーっとしてた。せっかく時間を取ってくれてるのに、ごめんね。今度はちゃんと聞いてるから、もう一回説明してもらえる?」
    2707

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    DONEあくねこ、ハウレス夢
    本編2章の直後くらいに、セラフィムの騙った主様の処刑を夢に見るハウレスの話。

    始めたばっかりですが、生きてるだけで褒めてくれるあくねこくんにズブズブです。
    本編は3章1部まで、イベストは全て読了、未所持カードばっかりだし執事たちのレベルもまだまだなので解釈が甘いところも多いかと思いますが、薄目でご覧いただければと思います( ˇωˇ )
    悪夢のしりぞけ方 ハウレスはエスポワールの街中に佇んで、呆然と雑踏を眺めていた。
     多くの商店が軒を列ねる大通りは、日頃から多くの人で賑わっている。幅広の通りはいつものように人でごった返していたが、いつもと違い、皆が同じほうを目指して歩いているのが奇妙だった。
     なにかあるのだろうか。興味を引かれたハウレスは、足を踏み出して雑踏の中へ入った。途端に、周囲の興奮したような囁き声に取り囲まれる。
    「火あぶりだってさ」
    「当然の方法だよ。なにしろ奴は人類の敵なんだから」
    「天使と通じてたなんて、とんでもない悪女だな」
    「許せないよ。死んで当然だ」
     虫の羽音のような、不快なさざめきが寄せては返す。悪意と恐怖、それから独善的な正義。それらを煮つめて凝らせたような感情が、人々の声や表情に塗りたくられていた。
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