御降誕祭 聖堂の中、整列し傅く執事たち。その最先では主が、膝立ちで祈りを述べて居た。
「天に御座します我らが神よ」
仰々しく声高らかに謳いあげる。
「何時如何なる時も我らを護りし恩義を示し…とか言うと思ったか?」
突然声色を変え、クワイヤに立って主は十字架を仰ぐ。
「確か人間ってのは神が自身に似せて創ったんだろ?その人間たちの愚行を見りゃ、手前さんのオツムの弱さが解るってもんさ。」
サンクチュアリに立ち入った主は、懐刀を十字架にぶん投げて突き刺す。
「Fuck U」
そのままよじ登り、木製の十字架を壁から引き剥がし、床に投げ付けた。
「おーおー、かしこみかしこみ」
十字架は大きな音を立てて割れ飛び散る。
「Go to hell, Got♡」
中指を立てた主は下品に舌を出して嗤った。呆気に取られる執事たちに、先程とは全く違う優しい笑顔を向ける。
「神サマが無能なせいで私の可愛い可愛い執事たちは悪魔と契約する羽目になったんだよ?その咎くらいは、ね」
だとしても、神に喧嘩を売るなんて。少し難しそうな顔をする執事たちにゆっくりと近付き、顔を上げさせ、主は額にそっとキスを落としてゆく。
「安心して、大丈夫。私が幸せにしてあげるからね。」
ニンマリと微笑った、主の顔は、天使か悪魔か。何方にせよ、碌な物では無い。
「さ、X'masパーティーやるんでしょ!皆で楽しも!」
何事も無かったかのように足取り軽く上機嫌に聖堂を後にする主に、少し困って、然し確実に幸せを心の奥底に噛み締めて、執事たちも後に続いた。
2023.12.25 END