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    藤原千郷

    @fjwrcst_story

    ぶぜさに♀小説書く人

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    藤原千郷

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    酔っ払いが書くとこうなる

    豊前がゲーマー審神者を追い詰める話 根っからのゲーマーで、暇さえあればゲームをやっている。いや、審神者になってからはそうもいかなくなってしまったので、暇を作ってやっている。寝る間も惜しんでと言いたいけれど、寝ないとすぐにバレて怒られるし私だけじゃない命がかかってるから、寝る時間だけはなんとか確保している。
     だから休みの日といえば、大広間で皆と対戦ゲームをしたり、自分とこの刀剣たちとマルチで遊んだりというのが常だ。歌仙なんかはいろいろと言いたげだけど、熱弁を振るって振るって振るったらとりあえずは目こぼししてくれるようになった。
     さて最近は待ちに待ったオープンワールドゲームが本丸でも出来るようになったのでとみに自室にこもっている。最初の一週間くらいならみんな、執務さえしっかりやっていれば何も言わないでいてくれる。いてくれたのだ。
    「おーい、主」
     また来た。豊前だ。元々は一緒にファミリーゲームを楽しんでいるメンツのひとりだったけど、あるときからあまり参加しなくなった。飽きたのかな、まあ豊前は体動かしてる方が好きそうだもんね、そう思っていたのは本当につかの間のことで、やつは私がひとりで黙々とゲームをしていると私の邪魔をするようになった。
    「いまゲームしてる!」
    「分かってんよ! 入っても良いか?」
     私の部屋はゲームがいっぱいあるので、自由に皆の出入りを許している。だけど私のゲーム集中期にはみんな近寄らないようにしてくれているのに、この男はもう。
    「邪魔しない?」
    「しねーって、いつも邪魔しねーだろ」
    「してるんだよなあ……まあいいけどさ……」
     画面から目を離さずに許可すれば、扉が開いて豊前が顔を出した。彼は右手に汗をかいたピッチャー、左手に手の汚れないように楊枝の刺さった漬物を持って器用に部屋に入ってくる。
    「ほら、歌仙さんが水分と塩分をちゃんと取れって」
    「う、うるせ~……取ってるもん……」
     嘘だ。集中してると疎かになる。そんな嘘も豊前は分かっていて、「そーだなー」と雑な返事をしながらテーブルにピッチャー……これは多分麦茶と、お皿を音を立てながら置いた。そして勝手に備え付けのグラスに手を取って麦茶を注いで……どうやら飲んでいる。嚥下する音が聞こえる。
     本当だったらゲームBGMをヘッドホンで聞きたいのだけど、それをすると周りの音が聞こえない。それはさすがに警戒心が足らないと自分でも思うので、イヤホンもヘッドホンもしないようにしている。グググ。
     どぽどぽとピッチャーから注ぐ音。そして、グラスを持った手が私の視界に入ってくる。
    「水分取ったのどんくらい前だよ?」
    「それ、豊前今使ったグラスでしょ?」
    「別にええっちゃろ、そんなん……」
    「いいわけないでしょ」
     豊前の呆れた声に、私も呆れた声で返す。グラスは他にもあるんだから使い回す必要なんかない。最近の豊前はおかしい。距離感がバグだ。誰がデバックしたんだよ。私か。
    「ねっちゅーしょうになるぞ」
    「大丈夫だよ!」
    「ねっちゅーしょうってなんだったか、なんかそんなことでこの間誰かと騒いでなかったか?」
     豊前がぐび、とグラスを煽ったのが視界の端に映る。カタンとグラスを置いた音が響いた。
    「なに、こないだ乱が言ってたやつ? ちゅーしようって……」
     ハッとして豊前を見ようとすると、既に身をかがめていた彼の大きな手が私の頬と、椅子の手すりに添えられて、そのまま抵抗することも出来ずに唇が重ねられる。思わず唇を閉ざしても、指で頬を押されて強引に開かされて、そのまま冷たい液体を無理やり移された。私の喉の奥と、顎とを滴って下に落ちていく。
     最近の豊前はおかしい。もうずっと、こうやって私の邪魔をする。熱に浮かされた顔をして、私を見つめて。
     まるでゲームに嫉妬してるみたいに、私のことを邪魔してくる。
    「ほら、ちゃんと水分取らねーとこうなるぜ」
     そんなのは体裁だ。建前だ。
    「なんで邪魔するの」
     ゲームをする手はもう止まっている。顔が熱い。冷たい麦茶を飲んだはずなのに。
     豊前は意地悪な顔をして私を見下ろしている。
    「主って、なんで邪魔するのって言うだけだよな」
     そう言ってまたグラスを煽った。口に含んだまま身をかがめて私を見つめてくる。
     私はきっと期待と熱にまみれた目をしているだろう。豊前の顔が再度近づいた。
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