re: Addiction――気に食わないことなど、数え切れないほどあった。それでも関係が途切れないのは、多少なり過去の縁やら温厚で人好きのする相手の性格のせいだ。
だからこそ。
「まあ、HiMERUさんには関係のないことですから」
その言葉を聞いたHiMERUは、走馬灯と呼ぶべき幻覚が目の間を過ぎり、気付いた時にはもう巽は居なくなっていた。
差し込む日差しが肌を突き刺す真昼間、朝より鈍い動きの社員の間を縫うように歩くHiMERUは、誰が見たって機嫌が悪かった。
原因は、こんな人が多い時間に呼び出した副所長でも、朝からダル絡みをしてきたユニットリーダーでもない。ツカツカと足音を立てながら、HiMERUにとってこの世で一番憎い相手――巽との会話を何度も思い出していた。
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