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    牡丹雪

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    牡丹雪

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    ぶっちぎり本番かつリハビリなハロウィン小話です。少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

    トリック・オア・トリート!本日はハロウィン。カボチャで賑やかに彩られた広場では、可愛らしい仮装をした子ども達の菓子を求める声があちらこちらで聞こえてくる。
    その光景を微笑ましく見ていると、私の方にも菓子を求める声が聞こえてきた。
    「おじさーん!トリック・オア・トリート!」
    「ふにゃっにゃ・ふーにゃ!」
    そう元気よく声を発したマチエールはとんがり帽子に黒いワンピース、いわゆる魔法使いの仮装しており、手にはまだ空っぽの小さなバスケットを持っている。もこおの方もとんがり帽子を被っている。
    「ふふっ、可愛らしい魔法使いだな」
    「でしょー!帽子はもこおとお揃いなんだよ!」
    「ふにゃ!」
    「2人ともよく似合っているよ。よし!魔法使い達にはこのお菓子をあげよう!」
    懐からチョコやクッキー等の菓子の詰め合わせとポフレの入った袋を出し、マチエールに渡した。
    「わーい!ありがとう!」
    「ふに!」
    マチエールは礼を言うと手渡された菓子をバスケットに入れた。もこおも例を言ってくれたようだ。
    「どういたしまして。ハロウィン、楽しんで来なさい」
    「うん!またねーっ、おじさん!」
    「ふにゃー!」
    私の元を離れた後、マチエール達は他の子どもたちと一緒になって様々な人に菓子をねだったり、バトルを楽しんでいた。2人とも楽しんでいるのがよく分かった。
    その様子を見ていると私も嬉しくなってくる。
    (マチエール達が楽しんでいてくれて良かった)
    「…トリック・オア・トリート」
    (それに子ども達も皆楽しそうにしているなぁ)
    「…トリック・オア・トリート」
    (この笑顔を守るために任務を頑張らねば!)
    「…トリック・オア・トリート」
    …ずっと無視していたがいい加減、背後から聞こえる声がうっとおしくなってきた。
    顔を後ろに向け、背後から何度も菓子をねだる男、クチナシに怒りを口にした。
    「うるさい、お前にやる菓子は無い。いい歳して何を言っているんだ」
    「へぇ…。菓子くれねぇんだな」
    クチナシは何時にもまして意地の悪い笑みを浮かべている。
    「やる菓子は無いと言っているだろう」
    「じゃあ、トリックだな」
    そういった途端、クチナシがいきなりトレンチコートの裾を片手で上げてきたと思ったら、もう片方の手で尻を揉んできたのである。
    「なっ…!」
    思わず大声を上げかけたが手で口を抑えて何とか堪えた。ここで大声なんて出したら子どもたちに注目されてしまう。
    すると、私の反応を見て満足したのかクチナシはパッと両手を離し、尻を揉むのを止めたのだった。
    「いきなり何をするんだ」
    大声にならないようかつ怒りは伝わるように低い声で言うと、クチナシはにやりと笑いあっけらかんとこう答えた。
    「何ってトリックに決まってんだろ。菓子をくれなかったんだからな」
    「お前な…!」
    「じゃあ、また後でな」
    「後でって…、おい!何処に行く!」
    私の静止を振り切ってクチナシはドンカラスに乗り何処かへ消えていってしまった。

    その後、部屋に戻るとクチナシが何故が不法侵入していた。そして抵抗虚しくトリックの続きをされてしまったのであった。

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