以前から気になってはいたのだが、オマエは料理が出来るようだな。殊勝な心掛けだ。
そういえば…ニンゲン誰しもが持つと言われる三大欲求のひとつに「食欲」が入っているそうだな。
ワシは時折、街に出向いてニンゲンの欲望を観察することがあるのだが、特に繁華街に出ると、ニンゲンが作る食物を目にすることがある。
生き物にとっては定期的に栄養を補給できればそれでいいはずなのだが、ニンゲンがもたらす料理は数百、数千では数えきれないほど充実している。さらに作り手によって素材、調理法、味が異なり、これこそ食文化が発達した要因のひとつと言える。
何故かわかるか?斯様な世界でも美食を追い求めようとする『欲望』があったということだ。それも先人によって何千年も前の古代より食文化は発達し、今日の現代に至っている。
時にオマエ、好きな食べ物はあるか?もしくは行きつけの飲食店はあるか?聞けば都内の飲食店は国内でも充実しているのだろう?実はワシも気になっていた場所がある。オマエにも今度紹介してやろう。
話を戻すが、オマエの食の好みはなんだ?オマエぐらいの年頃ならハンバーグが王道だろうか?中にチーズが入っているハンバーグも定番だがこれまた美味だな。
カレーやラーメンも非常に有名だ。カレーにコーヒーを嗜む、なんなら隠し味にコーヒーを入れることもあると聞く。カレーとコーヒーの組み合わせ、か…
あと、ワシは食べたことはないがチキン南蛮も美味と聞く。タルタルソースをかけて食べるそうだ。
ふむ、からあげや焼き鳥もいいな。手羽先も悪くない。
とり天、親子丼、チキンカツ…
挙げていくとキリがない。やはりニンゲンが作る食物はどれも美味そうだ。まさかショーケースの中にまで欲望を掻き立てられるとはな…ニンゲンの食文化は非常に発達しているのが理解できる。
クク、斯様な世界の底知れぬ『欲望』か…やはり興味深いな。…ああいや、なんでもない。
……なんだその顔は。念の為釘を刺しておくが、ワシは断じてフクロウではない。実際のフクロウはニンゲンの食べ物を積極的に食べたりしないだろう?他にも違いはあるが、ワシとフクロウの根本的な違いのひとつだ、間違えるなよ。