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    ひんと

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    ひんと

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    人生初めての小説(??)です。支部にも同じものをうpしましたが、使い分けがいまいちよくわからない、、
    お手柔らかにお願いします。

    #ヒプマイ
    hipmai
    #ヒプノシスマイク
    hypnosisMike
    #神宮寺寂雷
    JingujiJakurai
    #麻天狼
    mayuriVidya-raja
    #納豆アイス

    ある日のまてんろ 窓から穏やかな陽の光が射し、落ち着いた雰囲気のキッチンを照らし出している。キッチンのシンクには、先ほどまで朝食に使われていた食器が置かれており、この家の主が今、朝食の後片付けを行っている。
    彼、シンジュクディビジョン麻天狼のリーダー、神宮寺寂雷は今日という日を心待ちにしていた。というのも、今日は彼のチームメンバーである伊弉冉一二三と観音坂独歩が訪ねてくることになっているからである。休日に寂雷が一二三と独歩に会うことは珍しいことではなかったが、普段は2人が同居しているマンションに寂雷が訪問することが多く、2人を自宅に招く機会自体が珍しいことであった。これだけでも寂雷が心待ちにする理由としては十分だが、寂雷にはもう1つ、今日を楽しみにしていた理由があった。それは、寂雷の好物である納豆アイスを、2人にふるまうことになっていたからである。

     時は数か月前、麻天狼がとあるラジオのゲストに招かれたときにさかのぼる。リスナーからの質問に答える中で、3人は各々好きなアイスについて語っていた。そこで寂雷は、幼いころから慣れ親しんだ味である納豆アイスについて語った。すると驚くべきことに、2人とも納豆アイスを食べたことがないのだという。寂雷はこのことが、俄には信じられなかった。納豆アイスほど美味しいアイスを食べたことがないなんて、どうしてなのだろうか。寂雷は心から驚き、同時に2人に納豆アイスのおいしさを、納豆アイスを味わうことの幸せを分けてあげたいと思ったのだった。寂雷は、いつか2人に納豆アイスを御馳走すると約束したのだったが、只でさえ多忙を極める麻天狼である。まして2nd DRBの最中には中々時間などとれるはずもなく、今日に至るまで約束を果たす機会に恵まれなかった。2nd DRBもひと段落し、今日は久しぶりに3人の休日も揃った。かくして、寂雷は約束を果たすことにしたのである。
     自身の朝食の片付けを終えた寂雷は、2人が来るまでに納豆アイスを準備しようと冷蔵庫の扉を開けた。冷蔵庫の中には、今日の為に用意したバニラアイスと納豆が入っている。バニラアイスは、米国発祥のお高いアイスでお馴染みの会社に一級品を注文したものだ。また、納豆は名産地として名高いイバラキディビジョンから直接取り寄せたものである。寂雷は納豆を取り出し、手ごろな器に移し、普段から使用している寂雷特性のタレをかけた。納豆だけを味わうのであればタレなど不要であるが、アイスにかけて味わうときはタレをかけた方が風味が立つ。混ぜる回数はもちろん100回。適度に空気が混ざるように、寂雷は手際よく納豆をかき混ぜはじめた。
     ちょうどその時、玄関のチャイムがなった。もう約束の時間である。寂雷は玄関扉を開け、「おはようございます。今日はわざわざありがとう。さあ中へ」と、2人の訪問者を中に招き入れた。
    「先生ちっちっちーす!!では早速、お邪魔しまーす!!」と一二三はいつもの調子だが、「せ、先生、お、おはようございます…」と挨拶する独歩は、どことなく緊張しているようだ。思えば、こうして3人で休日を過ごすというのは、2nd DRBの決勝トーナメント前以来になるだろうか。死に物狂いで仕事を片付け、半ば強引に休暇を取得して決勝トーナメントに臨んだ独歩にとって、今日は久しぶりの休日のはずである。「独歩くん、今日はいつにもまして緊張しているように見えるけど、ちゃんと休めているのかい?」という寂雷の問いに、「い、いえ、確かに寝不足ではありますが、いつものことですし、俺は大丈夫です。」と答える独歩の声は、やはりいつもより覇気がないように寂雷には感じられた。
    「なら良いのですが。とにかく、今日はゆっくりしていってくださいね。」
     寂雷は2人をリビングに案内し、椅子に座るよう促した。
    「私は準備をさせてもらうよ」と、寂雷はキッチンへ向かった。「それにしても、納豆にアイスなんて、本当に合うんすか…んぐ!!」と、一二三の口を独歩が慌ててふさごうとする。
    「ばか一二三!!先生になんてことを言おうとするんだ。」
    「だって、ほんとの事じゃん。アイスに醤油は俺っちでも聞いたことあるけど、納豆なんて聞いたことないよ。一体どんな味になるのか、全然想像もつかないし。」
    「でも、先生は貴重な休日を使って、善意で俺たちに納豆アイスをごちそうしようとしてくれているんだぞ。」
    「そういう独歩ちんだって、昨日は納豆アイスにビビって全然寝付けないって言っていたじゃんか。今日だって、緊張が止まらないってさっきまで言ってたじゃん。」
    「それはそうだけど…」
     そうこうしているうちに、寂雷が3人分の納豆アイスを準備し、テーブルに持ってきた。
    「さて。改めて、今日はわざわざ私の家まで来てくれてありがとう。」
    「そんなことないっすよ先生!!俺っちたちからもありがとうございまっす!!いやーそれにしても、先生まじで納豆アイス作ってくれたんすね。すごい見た目してる。これほんとにおいしいんですか…んぐ!!」
    「だから一二三!!先生、今日はお宅にお邪魔して本当にすみませんすみません。本当は俺なんかが来てはいけない場所なのに。一二三も少しは落ち着いていろよな。」
    「んぐー!!んぐんぐー!!(独歩―!!苦しいー!!)」
    「独歩くん。一二三くんが苦しがってますよ。」と寂雷がほほ笑むと、独歩は慌てて一二三の口から手を離した。「いやー、息ができなくて、俺っち大ピンチだったわー」
    「しばらく3人で集まる機会もなかったからね、積もる話もあるだろうけど、まずはアイスが溶けてしまう前に食べてしまおうか。今日は2人のために、最高級の材料を準備したんだ。2人は納豆アイスは初めてなんだよね。きっと気に入ってもらえると思うよ。」
     一二三と独歩は息をのみ、目の前の納豆アイスを凝視している。29年間生きてきて目にしたことのない見た目、納豆とバニラアイスの混ざったなんとも言えない独特の香り、二人の緊張は最高潮に達していた。
    「では、頂きましょう」と寂雷はスプーンを手に取る。
    「…うー!!俺っちは!!俺っちは!!」「俺も、この一口に社畜人生を賭ける!!」と、緊張感のあまり我を失いかけている二人もスプーンを手に取る。

    「いただきます」
    「おっと、もうこんな時間ですね。今日はわざわざ来てくれてありがとうございます。二人と久々にいろいろ話ができて、とても楽しかったよ。」
    「俺っちも、久々に先生と話ができて、超楽しかったっす!!」
    「俺も、今日は先生に会えてよかったです。明日からまたハゲ課長にどやされるのがますます憂鬱になるぐらいには楽しい時間でした。この時間が永遠に続けばいいのに…」
     寂雷は空になった食器を片付けはじめ、一二三と独歩は帰り支度を始めた。
    「2人ともありがとう。それに、納豆アイスも気に入ってくれたみたいで、とてもうれしいですね。」
    「それは…えへへへ」と、一二三はお茶を濁す。「先生のおすすめですから、間違いないですよ」と話す独歩も、この時ばかりはぎこちなさを隠せなかったが、寂雷は意に介していない様子だ。「よければまたぜひ、納豆アイスを食べながら3人で過ごしましょう。」
     こうして、麻天狼の久しぶりの休日が過ぎていった。寂雷は3人分の食器を洗いながら、納豆アイスを食べていた時の2人の様子を思い出していた。ふと寂雷は、「一二三くん、独歩くん。やっぱり2人は実に興味深い」とつぶやき、2人と一緒にこれからどのような日々を過ごせるのか、麻天狼というチームがこの先どのような道を歩むか、一人思いを馳せているのだった。
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