君の宝石「いーっさくーん、また派手に力使ったらしいじゃん」
「遅かったな不法侵入者」
「俺だって暇じゃないんですー」
そう言いながら玲司は器用に窓から部屋に入ってくる
それを見て一紗は読んでいた書物を閉じ、近づいてきた玲司の胸ぐら掴み唇を塞いだ
「早急じゃん」
「俺に手出す許可出してやってんだ、さっさと回収していけよ」
「はいはい、まあ役得と思ってさせてもらいますよーっと」
一紗がソファに座り玲司はその一紗を押し倒した
少しだけ見えていた胸元の石を露出させなぞるように触れる
「やっぱ力使うと広がるね」
「みたいだな、使いすぎたら宝石になるのかもなぁ?」
「それは流石に嫌だし、冗談に聞こえねぇって
…つーかこんなけ広がるほど無茶すんなって何回言ったらわかってくれんのかなー?」
「……色々忙しかったんだよ」
「回収間に合わなかったらどうする気な訳?」
「お前がそんなに“待て”できると思わないけどなぁ?」
「ぁーまあそれはそうかも」
魔法を使えばその代償は身体に出る
大抵の人間は使った分、ある程度休めば元の小さな宝石に戻るのだが
強すぎる力を使えば一瞬で身体を宝石が埋め尽くしてまったり
逆に少しの休みでも小さな宝石に戻る者もいた
一紗は仕事の為に強い力を惜し気も無く使う
次に使う機会までに宝石が完全に戻るまで時間がかかりすぎてしまうほど身体を宝石が覆っていく
時間が足りない事もあり以前は少しずつ、少しずつ
元に戻る前に力を使いすぎ、一度倒れかけてしまった事もある程に…力の使用量、頻度と回復速度が追いつかず、一時期は身体を宝石が蝕んでいた
逆に玲司は力こそあるが器用に制御し使用はは最小限に使うだけ、何より回復速度が一般人より桁違いに早い分類
その為完全に小さな宝石に戻るのも早い
そして一紗が持ちかけた提案が“お前の頼みを聞いてやるから俺の宝石を持っていけ”
というもの
普通なら断る所だが
相手はあの一紗だ
求める知識や情報の提供をしてもらえば
後は受け取った宝石をどうにかしてしまえば良い
そうすれば俺は知識や情報を入手でき、一紗を失う可能性も格段に低くなる
一紗は自身の知識や情報で体を蝕む宝石を頼めるのだから好都合だ
そうしてそんな関係から受け取ることになり
最初こそ知識提供以外にも食事やら物品等を頼んでいたが
気がつけば体を繋ぐ事も報酬になり
『宝石を取りに来い』
その言葉が逢瀬の誘いとなっていった
「……取りすぎ」
「いーの、一紗より俺コスパいいからさ?」
「…………さんきゅ」
「はーい」
心配もしながらだけど甘えてくる姿に少し笑みをこぼし
一紗の範囲が狭まった宝石に1つキスを落とすのだった