かけねえよ「グレイグ、今なら胸を張れる。私は光たり得る。そう強く思うのだ。だから許せよ我が友。
私は今宵殺される。殺されるために走るのだ」
【1】プレイヤー
「ホメロス様」
ホメロスの朝は、メイドが白樺のドアを2度ノックすることではじまる。
おはようございます。今日は良い天気ですわ。雲一つなくて…空が高く感じますの。張りのあるソプラノの声が、にこやかな調子で毎日の天気を届けてくれる。
きゃらきゃらしたその報告と、左耳から右耳へ通り抜ける鼻歌を音楽として聞き流していると、空気の流れが変わり風の通り道ができた。どうやらメイドが窓を開けてくれたらしい。
ひんやりとした足先を丸める。すると、心地よく拡散した思考が徐々にまとまってゆく。
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