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    bororonb

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    【急募】日i本の至i宝からの引き抜きへの対処法の番外編。🍵が居ない間の🚹の話。モブ目線なので、モブが出しゃばります。


    A.周りも本人も、心の底から必要としていないから

    友達も彼女もできない理由 広瀬という少年が転入してきた。
     そんな噂が届いた日の昼休み、俺はチャイムが鳴ると同時に隣のクラスまで駆けつけた。
     『広瀬久作』。その名前は、界隈では有名だった。界隈というのは当然、この地区でバレーボールをしている、俺たちのような小学生男児のコミュニティである。彼は所謂スター選手と呼ばれる存在だった。けれどもチームを全国まで導いた絶対的エースにして、本人はその功績を鼻にかけるような様子がない。下級生の分と自分の分、合計3つのエナメルバッグをブラブラぶさらげながら真顔で闊歩するような素朴さは、下手に尊大に振る舞うよりも却って周囲の関心を引いた。
     試合会場のトイレで広瀬とバッティングしたとあれば、「トイレに広瀬いた」「広瀬ウンコするの!?」「うんこじゃねぇよ馬鹿。広瀬がうんこするはずねぇだろ」「いや広瀬もうんこはするだろ」「広瀬が!?」「それより広瀬、花柄のハンカチ使ってたぞ」「広瀬が!?」と、チーム中が広瀬の話題一色になる。それほどに、俺たちバレーボール男児は広瀬という男に興味しんしんだった。
    「ホンモノだ……」
     遠目に見るシルエットからして、もう風格が違う。ひょろりと高い背に、ぴんと伸びた背筋。そして、どこを見ているのかよくわからない、眠そうな黒目。「あの目は、俺たち凡人には見えないような景色を見通しているのだ」と、広瀬とネットを挟んで相対した選手は皆口を揃えてそう言った。
     転入生とだけあって、早速クラスメイトに囲まれている。あそこに他クラスから入って行く勇気はないが、俺はどうしても広瀬と話したい。あわよくば、「ジュニアチームは移籍するの?」と尋ねたい。
    「……ああくそ!」
     地団駄を踏みそうな勢いで懊悩していると、不意に、眼前の扉がガラリと開く。
    「ジャマ」
     扉から出てきたそいつは、素っ気なくそれだけを言うと、俺の隣をサッサとすり抜けて行く。拍子に、跳ね放題の小豆色の髪が柔らかそうに揺れる。けれども横顔は、ツンとしていて冷たい印象を与える。現に、妙に目力の強い翡翠色の目は、絶対零度のように冷え切っていて。この世界の全てが退屈でたまらない、みたいな表情だった。
    「ゲッ……」
     糸師冴。相変わらずいけすかないやつだと思った。サッカー界では有名選手らしく、その容貌も相まって学校では人気者だ。1階を歩いても2階を歩いても3階を歩いても。どこを歩いても糸師、糸師、糸師。この学校が、アイツを中心に回っていると言っても過言ではない。けれどもいかんせん、性格が悪い。冷酷で、粗雑で、傲岸不遜。広瀬とは大違い。
     今に、このクラスは広瀬中心に回るようになるに決まっている。
     仰け反りながら、俺は糸師の背へとベ、と舌を突き出した。


     けれども予想とは違って、半年経っても、隣クラスの大人気少年広瀬の噂は流れてこない。
     相変わらず衆愚は糸師糸師の大合唱だし、それどころか、広瀬には友達も彼女も居ないらしい。絶対におかしい。
     痺れを切らせて、凸でもカマしてやろうか、もはや俺が大親友になってやろうかと息巻いていた時だった。
    「広瀬くんて、優しいんだよ」
     そんな言葉に、ピタと足が止まる。俺は階段側の廊下に張り付いて、その会話に耳をそば立てた。どうやら話しているのは広瀬のクラスの女子達。トイレの前で、女子トークに花を咲かせている。
    「この前荷物運んでたら、何気なく手伝ってくれて」
    「へえ、ちょっと怖いと思ってた。あまり喋らないし、何考えてるかよく分からないし」
    「怖くなんてないよ。優しいし、頭も良くて運動もできる。カッコよくてすごい人だよ」
     女生徒の言葉に共感する。ウンウンと頷く俺に、階段から下りてきた生徒達がギョッとした目をして通り過ぎていく。
     愚か者ばかりだと思っていたが、見る目のある奴らが一定数はいるようでホッとする。
     けれども、そうなれば尚更謎である。何で周囲はあいつを放っておくのだ。
    「い、糸師くん!?」
     そんな喜色の混じった叫びに、意識を呼び戻す。慌てて壁から顔を出して状況を確認すれば、女生徒達の背後に男子生徒が一人ぬぼっと佇んでいた。先刻までは居なかった……というか、あの糸師ではないか。
     ターコイズブルーの瞳で、女生徒達を見下ろしている。平坦な双眸に温度感はなく、相変わらず何を考えているのかはよくわからない。気味の悪いヤツだ。
    「い、糸師くん?」
    「アイツ」
    「アイツって、広瀬くんのことかな?」
     その問いに答えることはなく、糸師は小さく右眉を上げる。女生徒達が、わけもなく固唾を飲むのが分かった。
    「アイツ、昨日ネコ蹴っ飛ばしてたぞ」
    「え……?」
     それだけ言って、ポカンとする女生徒達を置き去りに歩き始める糸師。あろうことか、サッサとこちらへ歩いてくる。どうやら下の階にようがあるらしいが。
    「ちょっと!ちょっと待て!」
    「あ?」
     咄嗟に腕を掴んで引き留めていた。糸師は、低い声を漏らしてこちらを凄んだ。顎を引き、斜め下から睨め上げてくる表情に、心臓が縮み上がった。
    「いや、あの、」
    「用がねぇなら離せ。弟が待ってる」
    「…………」
     相変わらず冷たい声だが、それでも会話ができるという事実に、少しだけ恐怖心が柔らぐ。こいつでも流石にいきなり殴りかかってきたりはしないらしい。
    「今の、何?」
     俺の言葉に、糸師は少しだけ虚を突かれたような表情をした。けれども瞬きをする間に、スンと、いつもの無表情に戻っていた。
    「……見てたのか」
     気怠げに落とされた言葉は、俺に向けられたというよりかは独りごちるような口調だった。きろ、と。猛禽じみた目が、俺を見て、また虚空を見て。
    「俺は、才能を潰されるのが嫌だ」
    「は?」
    「だから、トモダチとか、コイビトとか。ぬるい体験を共有して、ぬるい人間を量産するだけの次元の低い共同体も、嫌いだ」
    「?……??…?」
    「少なくとも、俺には必要ない。あと、あいつにも」
     こいつ、あまり頭は良くないと聞いていたのに、小難しい言葉で小難しいことを流暢に喋りやがる。言っている意味は半分も理解できなかったけれど、糸師が、俺含めたたくさんの人を馬鹿にしている事だけは理解できた。
    「どんな、理由があっても」
     反骨精神のまま口をひらく。
    「人の悪評流すとか、品格疑うぞ」
    「悪評じゃねぇ、ちょっとした『ジョーク』だ。信じたいヤツが勝手に信じてるだけだろ」
    「ハァ!?」
     そんな鉄仮面みてぇなツラで、『ジョーク』とか言わないでほしい。やる気あんのか。
     というか、『適当に法螺吹いて』と言われて、スッと「アイツねこ蹴っ飛ばしてたよ」が出てくる人間が居ていいはずが無いのだ。猟奇的すぎる。カタギが2秒で辿り着いて良い発想じゃない。
     誰だって真に受けるだろ、広瀬がねこ蹴っ飛ばしてたって思うだろ。
    「サイコパスかお前……」
    「サイ……何?日本人なら日本語喋れタコが」
    「さっきまでジョークとかぬかしてたヤツが何言ってんだ……」
     でっけぇ舌打ちをされる。心底不愉快そうな表情をして、踵を返す糸師。軽やかに階段を下っていく背を、今度は引き留める気にはなれなかった。
     だって怖すぎるもん、アイツ。自己チューとかいうレベルじゃないって言うか、何というか。こういう度を超えた俺様を表現する言葉を知らないけれど、とにかく、得体が知れなすぎる。
     それでも、この先アイツがいる限り、広瀬には友達も恋人もできないんだろうなと思った。

     
     中学になると、広瀬は糸師と違う学校に行った。それどころか、糸師はなんかスペインに行った。俺はバンザイした。
     広瀬と同じ中学でバレーができないのは残念だけど、あの魔王みたいな男の束縛から広瀬が解放されるのは、喜ばしいことだ。
     
     そんな事を考えながら、もはや広瀬のファンボと化していた俺はルンルンで廊下をスキップする。なんせ今日は、長谷中と試合会場が被っている。広瀬と会える可能性大だ。
     そして、スキップのまま2階の観覧席から広瀬のチームの試合を観戦する。相変わらず目を剥くような得点力だが、こう、何だろうこの違和感は。
    「いつもよりキレがない……」
     プレーが鈍っているというか、集中しきれていないというか。首を傾げるも、自分をよぶチームメイトの声が聞こえたので、後ろ髪を引かれるような心地でアップに戻った。

    「お前にもとうとう春が来たのかぁ」
    「おい、揶揄うな」
     そんな会話が聞こえてきたのは、本当に偶然だった。俺はトイレの個室で踏ん張りながら、広瀬とそのチームメイト──確か、セッターの会話に、気づけば耳をそば立てていて。
     『春が来た』というのは、よもや。
    「……で、どうするの?付き合うの」
    「……………」
    「あの子、一年の頃からお前の試合見に来てたよね。マジで羨ましい。学年でも清楚で可愛いって割と人気あるんだぜ」
     間違いない。広瀬。広瀬久作、モテている。
     いや、あの広瀬なんだから当たり前と言えば当たり前だ。というか、糸師がいなくなって一年近く経った今まで、広瀬がフリーだったほうが寧ろ驚きである。
     だからと言って、広瀬が女にデレデレしてる光景を想像するだけで、何故か胸を掻きむしりたくなるわけで。なんだ、これ。これはあれだ。俗にいう、『解釈違い』。推しが人気になるのは嬉しいけれど、それを受け入れる推しは俺の好きになった推しじゃないというジレンマ。
     自然と呼吸が荒んで居た。ドドドドと鼓動が早鐘を打っている。
     落ち着け、落ち着けと自らを鎮めようとする思考からは、既にこの状況に対する罪悪感など吹き飛んでいたわけで。
    「……こう言う時、お前はどうしてるんだ」
     その声音は、どこか悄然としていた。やはり広瀬らしくもない、聞いたことのない声だった。
    「俺ぇ?」
     話を振られたであろうセッターが、軽薄な声音で答える。
    「なんで俺に聞くのさ」
    「お前は俺よりこう言った機会が多いだろ」
    「…………断るよ。部活に集中したいし」
    「傷付かないか?」
    「さぁ?俺そう言うの割とどーでも良いタイプだから」
    「……」
     穏やかな声音とは正反対な、ドライな言葉。俺は広瀬以外の他チーム選手には興味がないが、この時ばかりは、必死でセッターの顔を思い出そうとしていた。
     なるほど、ぼんやりとしか思い出せないが、『こういった機会が多い』と言われるだけはある。優しげな、『イケメン』と分類されるような顔立ちだったような記憶がある。
     そのイケメンセッターは、顔に違わぬ優男じみた声で、「でも」と続けて。
    「そう言うの気になる人は、受け止めるしかないんじゃない?」
     淀みなく紡がれる言葉に、わけもなく冷や汗が滲み出てくる。
    「傷つけちゃったなぁ、悲しい思いをしてるんだろうなぁ、勇気を振り絞ったんだろうなぁって。そう言うの全部、受け止めて背負うしかないんじゃない。カワイソウ」
    「…………」
    「辛い?」
    「おれを好いてくれている人を、悲しませるのは嫌だ……」
    「うーん」
     そんな間延びした返答を漏らした後、蛇口を捻るような音が聞こえる。ザアザアと水音が響いて、栓を閉じるような音の後に、すぐに静かになって。

    「───なら、俺がころしてやろうか、その女」

     『その皿、俺が片付けておこうか』と、丸々セリフを入れ替えても違和感がないような口調だった。事も無げに零された提案に、俺は耳を疑った。広瀬の表情が確かめたくて仕方がなかった。けれども出ていく勇気もない。
     ここで見つかってしまえば、本当に殺されてしまうと思ったから。誰にってそりゃ、この扉の向こうに居る、頭のおかしいセッターにに決まってる。
    「な、にを、」
     困惑の滲んだ返答に、「ええ?」と笑み声の混じったような声が響く。
    「広瀬はさ、今日調子が悪いよね?つか、集中できてないよね?」
    「…………」
    「地区予選だから良かったけどさ、これが全国とか決勝とかだと思ったらゾッとしない?」
     俺はもはや、肩を抱いていた。口調は穏やかなのに、緊張感は増していくばかりだ。ひたひたと足元から滲んで来るような寒気は、殺気と呼ばれるそれに他ならなくて。
    「色ボケで集中できません?恋の悩みで頭がいっぱいです?他の女の顔がチラ付きます?目の前に俺がいるのに?許せるわけないよね?チームメイトも俺も、全部お前のためだけに最高のボール繋いでんのに」
     畳み掛けるような言葉が、次第に低くなっていく。
    「おれは勝ちたいもの。死んでも負けたくねぇの。だから殺してやるっつってんの、お前の──俺の足引っ張るモノ全部。それが嫌なら、マトモぶってねぇでさっさと切り捨てろ。それか他の奴にレギュラー明け渡せ。邪魔なんだよ。つか、まず今のお前にトス上げたくない」
     殆ど唸るような声に、最早場の空気は冷え切っていた。
     なんだこれ。
     なんだこれ、これが強豪の日常?こんなパンチラインでいつもこいつらは会話してるの?ユースのセッターにこんな罵られ方したら、俺だったら二度と立ち直れない。
     というか、広瀬に彼女ができなかった謎が、何となく解けた気がする。俺はあの、特徴的な下睫毛を思い浮かべていて。
     こいつの周りってこんな奴らばっかなんだろうか。
     兎にも角にも。とんでもないものを聞いてしまったという恐怖心はもとより、広瀬が終始無言なのが怖すぎる。見たくて仕方ない。広瀬、今お前どんな顔してるんだ。
    「悪かった」
     けれども俺の懸念とは裏腹に、広瀬の声音は朴訥としたものだった。いつも通り──否、むしろ、どこか愉楽すら感じさせるような声音であって。このピリついた空気が、気持ち良くて仕方がない。そうとでも言いたげな声音だと思った。
     あまりの場違いさに、俺はまた背筋が冷たくなるような感覚を覚えた。脊髄に氷塊でも押し付けられたような心地である。
    「何がおかしいの?」
     その感想は、セッターの彼も大方一致するところだそうで。最早苛立ちを隠そうともしない言葉に、広瀬は「いや?」と上機嫌に答える。
    「つい最近も、そんなふうに怒られたものだから」
    「……?」
    「こっちの話だ」
     こんな物騒なキレ方をする奴が、そう何人も居てたまるか。大声で待ったをかけたくなるが、今飛び出していっても苦しむのは自分だ。便器に腰を据えて、会話の成り行きをハラハラと見守る。
    「調子が悪いのは本当だ。コーチと相談して、助走とフォームを少しばかり変えたばかりだから」
    「…………」
    「色恋沙汰については、お前に話を振られるまではすっかり忘れてた。もう感覚は掴んだから、次からは問題なくプレーできる」
    「口では何とでも言える」
    「そうか。ああ。確かに、そうだ」
     不自然な間を以て言葉が切れる。
    「なら、プレーで証明するしかないな」
     素っ気なく言い切った言葉に、俺は思わずガッツポーズした。
     最高にカッコ良い。これだ、これこそが広瀬だ。
     有言実行の男。
     『サイボーグ』と称されるほどの、強メンタル。
     不必要に尊大な訳ではないけれど、実力に裏打ちされただけの自信を持っている。
     自己評価が恐ろしく正確で、広瀬はただ、できることを『できる』と言っているだけ。なのにこんなにカッコ良いのは反則だと思う。
     「だから」という言葉に、俺は心酔しきっていた意識を引き戻す。そこに薄く孕まれる感情に、僅かな不穏さを感じ取ったからだ。
    「次のトスは全部俺に持って来い。後衛でも、2段でも、厳しいやつも全部。俺が全部決める」
    「…………」
    「そしたら俺に謝れ」
    「あ?」
    「勝負に乗れと言ってる。身に覚えのない罪で好き勝手罵られて。俺だって多少は苛ついてる。それに、ほら。人の好意をどうでも良い、だなんて蔑ろにするのも気に食わない」
     教師が教え子を諭すような口調で、「できるよな?」と問いかける。自分に言われた訳でもないのに、俺は自然と背筋を伸ばしていて。
    「バレーを理由に誰かを蔑ろにするのなら、誰をも黙らせる実力と説得力が要る。だから、できるよな。セッターなんだから。全部をちゃんと、俺への『トス』にしてみろ」
     こんなに喋る広瀬を、俺は初めて見た。もしかしなくても、かなりトサカに来ている。
    「生半可な人でなしが、一番癪に触るんだ」
     止めだった。その声音の無機質さに、ついに喉から変な声が漏れた。

     結局次の試合で、広瀬は一人で35点決めた。あんまりにもあんまりなワンサイドゲームだが、それでも、試合後の空気感と言えば、最早どちらが勝者かわからないような物だった。
     命令無視に青筋を浮かべる監督と、『コートの中での全決定権は己にある』とばかりに、微笑んだままのセッター。緊張感の中で、己に矛先が向かぬよう息を潜めるチームメイト達。
     その中で一人、広瀬だけが涼しい顔でただ佇んでいて。
     薄笑みを佩いただけの静かな表情に、得も言われない薄寒さを感じた。

    ──ちょっと怖いと思ってた。あまり喋らないし
    ──何考えてるかよく分からないし
     
     ずっとずっと前に耳にした女子の言葉が、わけもなく脳内を反芻する。その時俺はこの感想を、「見る目がない」と一蹴したのだったか。
     とんでもない、と思った。曇っていたのは、俺の目の方だと。
     だって、ほら。
     広瀬という男は、これ以上にないほどに不気味だ。
     得体が知れない、と。人間に対してこの感想を抱くのは、これが2回目だった。
    『類は友を呼ぶ』なんて月並みな慣用句が、頭に浮かんだ。




     

     
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    DOODLE【急募】日i本の至i宝からの引き抜きへの対処法の番外編。🍵が居ない間の🚹の話。モブ目線なので、モブが出しゃばります。


    A.周りも本人も、心の底から必要としていないから
    友達も彼女もできない理由 広瀬という少年が転入してきた。
     そんな噂が届いた日の昼休み、俺はチャイムが鳴ると同時に隣のクラスまで駆けつけた。
     『広瀬久作』。その名前は、界隈では有名だった。界隈というのは当然、この地区でバレーボールをしている、俺たちのような小学生男児のコミュニティである。彼は所謂スター選手と呼ばれる存在だった。けれどもチームを全国まで導いた絶対的エースにして、本人はその功績を鼻にかけるような様子がない。下級生の分と自分の分、合計3つのエナメルバッグをブラブラぶさらげながら真顔で闊歩するような素朴さは、下手に尊大に振る舞うよりも却って周囲の関心を引いた。
     試合会場のトイレで広瀬とバッティングしたとあれば、「トイレに広瀬いた」「広瀬ウンコするの!?」「うんこじゃねぇよ馬鹿。広瀬がうんこするはずねぇだろ」「いや広瀬もうんこはするだろ」「広瀬が!?」「それより広瀬、花柄のハンカチ使ってたぞ」「広瀬が!?」と、チーム中が広瀬の話題一色になる。それほどに、俺たちバレーボール男児は広瀬という男に興味しんしんだった。
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