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    #AIの民#Acc

    @AccLubOn

    AI絵作ってるから嫌いな人はみないでね
    鬼切くんがすき

    ※パスは何も書いてなければSP鬼くんが手に持ってる刀の本数です

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    主従の奇行の話。SP後を想定。

    ##光切

    雪見酒静かな雪の夜、源頼光と鬼切は庭園の一角を見渡せる軒先に腰を下ろし、月明かりの下で酒を楽しんでいた。
    冬の澄んだ空気は冴え渡り、雪で白く染まった庭の向こうには、輝く満月が冴え冴えと浮かんでいる。
    積もる雪は月光を受けてほのかに輝き、その静寂の中で、二人の酒の香りだけが淡く漂っていた。

    「雪を眺めながら酒を飲むのも、いいものだろう」

    頼光はにっこりと笑い、杯を手に取った。
    鬼切は酒を少しずつ少しずつ、慎重に口に含みながら頷いた。

    「ああ、そうだな。今日は都が一段と静かに感じる」

    鬼切は穏やかに酒を嗜んでいた。
    月を眺めながら、時折頼光と言葉を交わし、杯を傾ける。
    しかし、次第にその顔に赤みが差し、目も少し霞んできたようだった。
    頼光はちらりと鬼切を見やると、静かに言った。

    「鬼切、考えて飲めよ」

    頼光が静かに忠告するも、鬼切は酒を飲み続ける。
    「平気だ。俺は大江山の鬼だ。酒の一本や二本で……」
    鬼切は頼光の声を振り切り、注がれた酒を一気に飲み干してしまった。
    「ならば、好きにしろ」
    頼光はわずかに肩をすくめた。

    その時、鬼切は突然ふらりと立ち上がる。
    手には傍らに置いてあった刀を握り、焦点のおぼつかない瞳は空中を睨んでいる。
    頼光が訝しげに眉を顰める中、鬼切はふらふらと怪しげな足元で、雪の庭園に降り立った。

    「悪鬼が、」
    ──そして、鬼切は刀を抜いた。

    月光が刃に映り、煌めく光が雪の上を走る。
    鬼切は、まるで見えない敵と対峙するかのように刀を構えた。

    悪鬼などどこにもいない。
    しかし、鬼切は頼光が教えた太刀筋のまま、雪の中で舞うように刀を振るった。

    白銀の雪が舞い上がり、鬼切の動きに合わせて宙を踊る。
    舞い散る雪片が月光を受けて煌めくたび、鬼切の刀もまた、光を反射して眩く輝いた。
    刀が振られるたびに、きらきらと銀の光が閃き、まるで夜空に星が降るかのようだった。

    ──刀舞。

    それは、戦いというよりも、武芸の神に捧げる舞いのようだった。
    鬼切の動きは酔っていながらも乱れることなく、むしろ研ぎ澄まされた静謐な美しさを帯びていた。
    月光を背にし、彼は軽やかに、まるで天と地の狭間を舞うかのように刀を振るう。
    その姿は、頼光にとって目を離せぬほどに美しく、酒の肴と言うには惜しいほどだった。

    頼光は静かに杯を口に運ぶ。酒の香りが広がり、喉を滑る冷たい感触が、鬼切の刀舞と相まって心地よかった。

    美しい。

    頼光は、ただそれだけを思いながら、杯を重ねた。

    やがて鬼切の動きも鈍くなり、足元がおぼつかなくなる。
    そして、ふらりと雪の上に膝をつき、座り込んでしまった。

    「俺は……、もっと飲める……!」
    頼光は苦笑いしながら庭に出て鬼切を支え、暖かい部屋の中へ戻してやった。

    「もう十分だ。お前の刀舞は、見事だった。」
    頼光はそう呟くと、すっかり意識のない鬼切を布団に押し込んだ。

    夜空には相変わらず月が輝き、雪は音もなく降り続けていた。
    頼光は再び杯を満たし、傍らに鬼切の気配を感じながら、静かに酒を口に運ぶ。

    ──輝く月、輝く雪、そして鬼切の刀舞。

    そのすべてが、雪見酒の夜の一幕として、永遠に刻まれていくようだった。

    「いいものだ。」

    頼光は静かにそう呟き、杯を傾けた。
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