最初に抱いたのは、きっとただの憧れだった。男なら誰だって強い人に憧れるもので、僕にとってその身近な強い人がシャナオウさんだった。そう、それだけだったんだ。
だけどシャナオウさんは強い上に優しくて、落ちこぼれの僕のことを決して否定することはしなかった。不本意ながらなってしまった従者だけど、側仕えとして大事にしてくれたし、それでいて歳の近い友達みたいに気楽に接してくれた。
純粋に嬉しかった。いつも失敗ばかりで親しい友達もいない僕に、シャナオウさんは僕の欲しかったものをいっぺんに与えてくれたから。
いつしか僕は、初めて男の人に恋をしていた。
でも。それはあってはならない感情だ。僕は従者、そしてインキュバス。主人でアンドロイドで、それに男のシャナオウさんを好きになっていいはずがない。
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