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    mashibaxxx

    サイトを閉鎖しましたので、今後はこちらでのんびりまったり
    webより紙に戻ったという感じです。
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    mashibaxxx

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    文庫メーカーで上手く変換できなくて…ポイピクに直接貼り付けましたw
    2016年のものですし、文章を書く正しい事を何も知らずに書いていて拙いのですが…
    海坊主さんと美樹さんのお酒のお話です

    #シティーハンター
    cityHunter

    やさしい時間COffEE HOUSE CAT’S EYE


    夕日も沈み、辺りにネオンが輝きだした頃、客のいない店を早めに閉めようと、店主の男は、外の看板を店内に仕舞った。
    

男がガラスの扉にかかる『営業中』の看板を吸盤ごと外ずし、扉の鍵を閉めると、店主の妻が部屋の明かりを落とした。
    
そのまま、妻は、カウンターにキャンドルを置きマッチで火をつける。

視力のほとんど無い男にも何となくそれはわかった。


    「……どうした、美樹?」

    そう問いかけると、続いてカチャンとカウンターに何かを乗せる音がした。

    グラスの重なる音、氷の音、液体の揺れる音。
    
「……酒か?」


    「たまにはいいでしょう?ファルコン」
    

優しく微笑みながら、妻は、愛しい男を見た。

    「珍しいな。まあ、たまにはいいな」
    

エプロンを外し、カウンターの端に置く。
そのまま、カウンター席に座る妻のとなりのスツールを引くと、体の大きな店主の男は、器用に座った。
若干、椅子の脚がグニャリと曲がったが…。
    

隣に妻の存在を感じる男は、お酒の作られる音を聞きながら静かに目を閉じた。



    カランカラン……


    マドラーを回すと、グラスに氷が当たり、心地よい音を立てる。

    

コトリ…

    

やがて、自分の目の前に、酒の入ったグラスが置かれると、男は、自分の体と比べると小さく見えるそのグラスを持ち、一気に飲み干した。
    

「………」

    「…ファルコン?」
    
「…美樹、お前…これ…」
    
男は、真っ赤になり、困り顔で、手で口を押さえながら言った。


    「なんで、お前が、これを…」

    「あら、変な味だった?」
    
妻は、自分の分にと同じように作ったもう一つのグラスを持ち、一口のんだ。
    

「あら、よく出来てる。これよ、これ。懐かしい」
    
あっけらかんという妻に、海坊主は驚いた。


    「…お前が何故、この酒を知ってる⁈」

    「あら、やだ、昔、みんなで隠して飲んでた癖に。バレてて怒った?」

    「そうじゃない。なんで、こんな酒をお前が知ってるのかだ」

    真顔で言う海坊主に、ちょっとびっくりした美樹が答えを言った。


    「や、やあね。そんなに怒らないでよ。たまたま、軍に一緒にいた時に、ファルコンの荷物の水筒から、一口だけ水をいただこうと飲んだことがあって、中身がこれだったの。」
    
「…お前な…ひと口で…」
    
ちょっと赤くなりむくれた顔で美樹はそう言ったが、夫の驚き具合でやり過ぎたと感じ、ふぅと息を吐き話しを続けた。

    「…ダグラスに聞いたのよ」

    「……ダグラス、ダグラス・グリーンか」
    


ふと二人が同じ戦場にいた時を思い出す。
    


「水筒の中身に驚いてダグラスに聞いたら、眠れない連中が眠るために作ったものだって。中身を聞いてびっくりしたわよ。強いお酒がこれでもかって混ぜてあるんだもの」
    
美樹は、ちょっと呆れ気味に言った。

    母親に怒られているような気分になり、ちょっと恐縮し、小さくなる男。


    美樹は睨んだ目から、ふと穏やかになり、自分の夫を見て、そのまま語り続けた。
    
「……でも、ダグラスが言っていたの。あなたのは特に強いもので、戦いというより、何か他のものを紛らわそうとしているかもと」


    「!」


    美樹にそう言われた海坊主は、驚きの表情をした。


    「その後よ、あなたが私の前から去ったのは……」


    美樹は少し寂しそうな笑顔で海坊主の顔を見た。
    

「それがわかった時、貴方があたしのことで苦しんでいたと気がついたの。だから、違うと、貴方の側にいることがあたしの幸せなんだと伝えたかった」
    

そう言った美樹が今度は苦しそうな顔をした。
その気配を感じとった海坊主は、美樹の頭を優しく、くしゃりとなでた。


    「…その想いは伝わった」
    
「ファルコン…」
    
優しく撫でられ、頭に置かれた海坊主の大きな左手を、美樹は両手で包むように掴み、自分の頬へうつす。
二人の左の薬指には、あの日に誓い合った証の指輪が輝いていた。
    


「…夜は長い。もう少しゆっくり飲めるものを作ってくれっ」


    海坊主は、照れながら、この状態にちょっと耐えられずそう言った。

    「はい」

    美樹は少し目頭に光るものがあったが、笑顔で応えた。

    




カランカラン……



    ふたたび、マドラーが氷を回す音が聞こえてくる。
    

男の前に、コトリとグラスが置かれる音がする。

笑顔で互いの顔を見ながら、グラスの口の端を重ね合わせる。

    

「「 乾杯 」」

    

外の雑踏の音も感じない、二人の間には静かで穏やかな時間が流れていた。
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