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    白 梅

    @KN_8srum

    エー監・カリ監メインで細々と文字書きしてます。

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    白 梅

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    生理痛で情緒不安定な監ちゃんのお話

    ※女監督生
    ※デフォルトネーム「ユウ」使用

    これの続きです
    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13752969

    【エー監】生理痛で情緒不安定な監督生ちゃんと全力で甘やかしてくるエース君【2】じわじわと侵蝕するお腹の痛みと共に浮上した意識。
    カチコチ音がなる壁掛け時計の短針は『5』を少し過ぎた位置に止まっている。
    ぼーっとする中でも確かな鈍痛。そういえば、昨日の夜薬飲んでないや。
    いつもなら初日が一番重かったから油断してた。
    引き出しから錠剤を取り出してキッチンへ向かう。乾き切ってないコップをカゴから取り出し水を注ぐ。そして錠剤と一緒に水を喉に通すと、また寝室へ戻って毛布にくるまって、痛みが収まるのをただひたすら待つ。

    ――――あ。

    酷くなる前に薬を飲めたからか、ゆっくりと鎮まっていく痛み。
    それと代わるように、あの『欲』がフツフツと湧いてくる。
    大丈夫、今は弱ってるだけだから。もう少ししたらおさまるから。
    また暴走してしまう前に、その『欲』を抑え込みたくて。毛布を頭まで被って、その中で膝を抱えて丸くなる。
    けれどもそれは消えるどころか、うまくコントロールできない心に『寂しさ』を与え続けてくる。

    「…………えーす」

    無意識に呟いた名前。その名前を口にしてしまえば、もう無理だ。
    私は冷たいフローリングに素足を降ろすと、フラフラとおぼつかない足取りでエースが泊まっている部屋へとたどり着く。
    コンコンコン。
    小さなノックがしんとした廊下に響く。しかし、そのノックの応えはない。
    えーす……、えーすぅ…………。
    心のどこかでは分かっていたのに、微動だにしない扉にしゅんと落ち込む。自分の部屋に戻ろうとしゃがみこみそうになった身体にムチを打って踵を返した。
    カチャ。
    聞こえてくるはずのない、ドアノブを捻る音。私は反射的に振り返った。

    「ふぁぁ〜。 なに、なんかあった?」
    「え! あ、エース……」

    ノックの音に起きたらしいエースが寝癖ではねた髪を掻きながら大きな欠伸をする。
    どうしよう……!
    彼を目の前にして、次第に冷静になっていく頭。そうだ、今はまだ朝の五時だ。こんな時間に起こされるなんて迷惑でしかない。

    でも――――!

    「あの、えっと……あのぉ」
    「なに?」
    「あっ……、エースさん……その………………甘えさせて、クダサイ」

    こんなに静かな場所でも聞こえるかどうかぐらいの音量。それでもエースに届いたみたいで、彼は少し黙ると「入って」私の手を引っ張ると、パタン。扉の閉まる音が誰もいない廊下に響いた。



    胡座をかくエースの上に横抱きになるように座って、私の背中を支えている手とは反対の手をふにふに揉む。傷一つないスラリとした綺麗な手。でも触ればゴツゴツしてて男の子なんだなって感じる。
    「それ楽しい?」と聞かれたけど無視。私は今、甘えることに必死なんです。

    応えが帰ってこないことを察したエースはそれ以上追及はやめ、私の髪を梳きはじめる。
    あ、それ。すき。
    気持ちよくて、彼の肩へと頭を無意識に擦り寄る。
    もっと。もっとして。
    エースがフッと笑った気がするけど、気にしない。安心感と心地良さを与えてくれるエースが悪い。

    そんな幸せに浸っていると、エースも眠くなってきたのか、段々と私の頭を撫でる彼の手がゆっくりになっていき、手の力も抜けていく。
    無理やり起こしちゃったもん、そりゃそうだよね。

    少し寂しいけど、これ以上わがままは言いたくなくて。ありがとうの意味を込めて先程より熱を持った手にちゅっ、軽い口付けを落としす。
    触れるだけのそれをしま瞬間、大袈裟なぐらいビクッとしたその手。見上げるとエースが目を見開いて私を映している。

    「おまっ――――! っはあぁぁあぁぁぁ〜〜〜。 それわざと?」
    「えっ、えっ? なにが??」
    「あ〜うん、やっぱ天然なのね……。 ったく、おかげで目ぇ覚めたし」

    気だるげな雰囲気はどこへやら。
    おりゃ。エースはガバッと私に覆い被さると頭に、こめかみに、瞼に、鼻先に、頬に、次々とキスの雨を降らせ始めた。

    「ちょ、なに?」

    突然のエースの行動に頬が熱くなっていき、それと同時にエースに構ってもらえて口がにやけてしまう。あぁもう。自分の単純さが恥ずかしい。
    「仕返し」なんてイタズラが成功した少年みたいな顔で笑うエース。彼の瞳が私をしっかり捉えると、ゆっくり瞼を閉じて互いの唇を重ねた。
    暗闇と共に私を覆っていた『寂しさ』なんて、もうどこにもなかった。
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