さよならなんて言わせない 今日は朝からシトシトと雨が降っていた。どんよりとした重たそうな灰色の雲が賢者の島を覆い尽くしている。肌寒いのに纏わり付くような鬱陶しい湿気のせいで、オレの不快指数はかなり上がっていた。まぁ、不快の理由はそれだけじゃ無いんだけど。
普段は入れない鏡の間。この薄暗い部屋の中には、学園長や教師陣とグリムを始め、全7寮の寮長と寮生達が集まっていた。
オンボロ寮の監督生を見送るために。
ユウが元の世界に帰れると知ったのは今日の昼。いつものようにオレらと一緒に食堂でランチを食べてた時だった。
突然現れた学園長が「ユウさん、良かったですね。今日帰れますよ」なんて爆弾発言をかますもんだから、食堂は一気に阿鼻叫喚の場と化した。デュースなんかスプーンに掬っていたオムライスを皿に落としてたな。
1963