『わりぃ。スバルが真んちの住所瀬名先輩に教えちまった』
時間を確認しようと携帯を見れば、見たかったデジタル時計よりも一番上の通知が目に入った。
『なんで衣更くんが謝るの?』
『止められなかったから、本当にすまん!』
かわいいくまが土下座しているスタンプが送られてくる。特に意味を持たない猿のスタンプを送って画面を閉じた。
どうしようか。家に確実に泉が来てしまう。だが長い間片付けも掃除もしておらず、とても泉を上げられる部屋ではない。でもきっと、追い返すのも忍びない様子でやってくる。
……せめてリビングだけでも片付けるか。そう思いながらも身体は鉛のように重く、あと10数えたら、あと30数えたら……と目を瞑って先延ばしにする。一度目を開けるともう一度スマホを見る。何やらまた真緒からメッセージが来ていたけれども、もう目が霞んできてロックを解除する気力もなかった。今は18時42分。……よし、18時45分になったら起き上がって片付けをしようと心に決めて真は目を瞑った。
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