白く輝く湖のほとりで、私は彼と出会った。
彼は大層痩せていて、他人の憂慮を手招くような男だった。しかし、それと同時に、彫刻や絵画の様な芸術的美貌をも有する美男子だった。更に言えば、彼は人を寄せ付けない魅惑的な奇妙さも持ち合わせていたので、町の人々は彼を「ミステリアスな殿方」と謳って頬を赤くしていた。彼奴の何処に惹かれるのやら、見当もつかない。
でもまぁ、面白い奴ではある。
これは私と彼の一寸した御噺。
さあ、貴方も良き旅を。
チャプタ:
冬の朝は静かで良い。単純な作業も小難しい考え事も捗る。寒いのが難点だが、それも慣れれば良いだけ。住めば都、それは季節も同じだ。
寒むさに怯えるようにして手を擦る。
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