春うらら「乱歩さん、此の事件の被害者って……」
医務室から出てきた与謝野さんが乱歩さんに話し掛けるも、その姿は見当たらない。
他の社員(誰でも良いけど、国さんが一番有り得るかな)に聞いてみると「乱歩さんは何時の間にか消えていた」との事。
少し探そうかと与謝野さんは社を出て、近くの公園まで足を運んだ。「乱歩さんならあそこに居るだろう」という直感からだった(考える描写とかで良いかも)。
与謝野さんが思った通りに乱歩さんは其処に居て、膝を抱えて地面を見ていた。
近所の子供達と遊んでいると思っていた与謝野さんは不思議に思い、乱歩さんに声を掛ける。
「何してるんだい?乱歩さん」
「此れ、ふーってして!」
乱歩さんから渡されたのは、白い綿がふわふわと揺らぐタンポポ。
与謝野さんは頭にはてなを浮かべながら、ふっと息を吹き掛けた。
美しい種達が春風の流れに乗り、空へ泳いでいく。
少しだけ、綿が残ってしまった。
「何だい、此れは?」
乱歩さんは与謝野さんの話を聞かず、すかさず残った綿を吹いて飛ばした。
「よしっ!」
乱歩さんが「2人で一息ずつなら両思いだよね」(台詞無し)って事で、ドヤ顔で立ち上がると、手に持っていた、可愛らしい黄色のタンポポを与謝野さんの髪に刺した(タンポポを贈る事には「幸福」の意もあるらしい)。
乱歩さんは御満悦な様子だが、与謝野さんは目を丸くするだけ。
「うん。矢張り、蝶には花が似合うね」 (「蝶=与謝野さん」という解釈)
突然口説かれた(?)与謝野さんは顔を真っ赤に染め上げるも、乱歩さんはニヤニヤと笑いながら(照れてても可愛いぞ)社に戻っていった。
「ちょっ、ちょっと乱歩さん!如何いう事だい!?」
慌てて乱歩さんの背中を追い掛ける与謝野さんの声が、春嵐のように過ぎ去って行った。