神アス-勘違い
アスラン=BBⅡ世は、他者への好意を隠さない人間だ。
直截な愛の言葉を投げかけることこそ不得手だが、彼の振る舞いは並のラブコールより雄弁に愛を語る。
サタンと師の他に理解者を得られず孤独な半生を過ごしてきたアスランにとって、好意や愛情は黄金よりも価値のあるものだ。
それゆえ、たとえ伝えた好意が跳ねつけられる可能性があったとしても、胸に抱いた好意を打ち明けずにいるほうが罪深く、また耐え難いと感じる性質であった。
そんなアスランであるから、自身の恩人たる神谷への接し方といったら、好意が実体となって目に見えるかのような激甘っぷりであった。
朝起きれば蕩けるような笑顔で「朝餉の刻だぞ、カミヤよ。清めの儀を行うがよい」とかいがいしく神谷の背を起こし、神谷が朝食に合わせて紅茶を淹れれば言葉を尽くして讃え、神谷の外出に際して好物の入った栄養満点の弁当を持たせ……。
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