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    ョぐの倉庫

    @it_enst2714

    凪茨
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    真夏に汗ばんでシャツパタパタさせんのエロいよな

    #凪茨
    Nagibara
    #男子高校生七種茨

    男子高校生 七種茨 ①ミーンミーンミーンミーン…………


    午前中。1限も始まってない時間だっていうのに、茹だるような暑さが俺たちに猛威を振るう。今夏、俺たちの最強の相棒となるはずだったエアコンは試用運転の際に故障が発覚して、現在扇風機のみで暑さを凌がなければいけない事態となっていた。バカか。そのせいでクラスメイト達は、外との気温差がない教室内の温度にあーだのうーだの言いながら机に張り付いたり、冷たい教室の扉に擦り寄っていた。まさにカオス。


    「おはようございます」


    例に漏れず暑さで白目を剥きそうになっていた俺だったが、隣から声を掛けられ意識が一瞬現実へと引き戻される。
    無言で視線を交わした後、俺が何を言わんとしてるか察した様子の隣の席の友人は肩にかけていたバックを机の横にかけ、いつもより緩慢な動きで席に着いた。


    「……おはよう……」
    「…………今日、めちゃくちゃ暑いですね」
    「あつい、やばい、しぬ」
    「暑さに語彙力まで奪われたんですか」


    ふっ、と目を伏せながら口元を緩める。いつもならもう少し声に張りがある気がするが、流石に友人もこの暑さに少しばかりはやられているということか。……でも、なんかそれよりも。なんだろう、いつもと違うような。うーん。……あ。
    友人は俺からの視線を感じたのか、こちらへ身体を向けた。


    「なんですかジロジロと」
    「……え?あ、あ〜、いやー……」
    「………?」


    ジトっと湿度を感じるような目付きでこちらを睨む。暑さのせいなのか、今日はその目付きさえも迫力がないというか。なんて言ったら怒られそうだから言わないけど。でも、俺が今から言おうとしてることの方が怒られそうな気がする。……だって、だってさぁ〜。


    「あれ、七種。今日シャツのボタンどったの」
    「え」
    「…………あちゃぁ……」



    横から入ってきた別の友人に先に指摘されてしまい、思わず額を抑える。
    隣の席の友人。もとい七種茨は、いつも1番上まできっちりと留めているワイシャツのボタンを、今日は上から3番目までざっくりと開けていた。ワイシャツから覗くのは引き締まった瑞々しい肌色で、正直目に毒である。


    「なんか珍しいなと思ってさ!いやー今日めちゃくちゃ暑いもんな!七種も暑さには抗えないよな!」


    アハハと豪快に笑いながら背中をバシバシと叩いた後、満足したのかその友人は颯爽と自分の席へと戻って行ってしまった。


    「…………」


    指摘されてから俯いたままの七種に、何と声を掛けるべきか思案する。一瞬でも他人に隙を見せたくないだろう七種はきっと「油断した」とでも思っているんだろう。俺は七種の“素”が垣間見えたようで少し得した気分だが。……でもこの空気を打開するべく少しフォローを入れてやらなければ。…………どうしよう。「今日暑いから仕方ないよな!」……なんか違う。「俺は全開にしよっかな?」これは絶対だめ。「昼飯何食おっかなー」……これか?
    暑さにやられた脳味噌は1番意味不明な答えを弾き出したあと、そのまま機能しなくなった。いやもうそれよりもう一つ気になることがあって。もういっか。このまま言っちゃえ。


    「七種、いい匂いする」
    「!?」
    「それ、香水?柔軟剤?体臭?」
    「……何言うかと思えば……ほんと、なんなんですか貴方」


    席に着いた時から、友人から香る仄かな甘い匂い。シャツが大きく開いていたから、香りやすくなっていたのだろうか。汗と甘い匂いと、筋の通った綺麗な腹筋。暑さなのか恥ずかしさからなのか、少し赤らむ頬も相まってなんか。


    「色気を感じますよ、七種さん」
    「アホか」
    「むさ苦しい教室で七種だけなんか違うもん」


    冗談めかしく言ったが、カオスと化した教室内で、確かに七種ただ1人だけが異質だった。
    「もうどうでもいいや」と言わんばかりに姿勢を崩した七種。肩上まで伸びた臙脂色の髪が首に張り付き、そこからツーと首筋まで落ちた汗を細い指で拭う。ふぅ、と溜息をつきながらパタパタとシャツを動かせば、甘い香りがこちらにも漂った。長い足を組み直すと、やっとこちらの視線に気付いてニヤリと口角を上げ、そうして、一言。


    「悪趣味」


    思わずカメラでシャッターを押したくなるような素晴らしいシチュエーションと表情に。……ああ。そういえばこの人アイドルだったな、なんて。七種に言ったらまた怒られそうなことを思っては、心の中で反芻した。
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