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    たうふ@はっち ほ組垢

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    POIPOI 9

    駄文。短い。

    🟥と🐚のお話

    真夏の幻覚あれは、確かわたしが5歳くらいの頃の話やったろうか…
    今でも鮮明に思い出せる。
    セミもうだるような暑い夏の日。
    いつものように鍛錬を済ませたあとやった。
    何かに呼ばれたような気がして
    裏庭の方へ向かった
    大きな古池とあまり手入れの行き届いていない木々
    そして





    「誰だお前」



    不機嫌そうな顔をした男が、そこにいた











    裏庭は基本使うとらんはずなんに、なんで人がおるんや…


    「誰だお前」


    ゆっくりと振り返ってこちらを見る人影。
    薄桃色の長髪に特徴的な癖のついた髪…
    髪色はちゃうけどなんだかこの人…


    「ははうえ…に…にてる…?誰やろか??
    はっ!!まさか曲者やったりっっ!!」

    なんとなく寄った裏庭に、見知らぬ男がおる…
    屋敷の使用人のカッコウでもないし
    そもそもこの屋敷にいる人らは
    みんなわたしに丁寧な言葉遣いやし…

    「っやはり曲者やな?!」

    ようやく身についてきた構えの姿勢をとる
    お、なかなかかっこええんやないやろか

    「おい…誰が曲者だ………お前の方こそ…人に名を聞くからには名乗るべきなんじゃないのか…」

    声が小さく聞き取りにくいが
    何とか言うてることはわかった

    「わっわたしは、綿津家当主、綿津コウが長子、綿津沖嗣と申す!」

    「わたつ……??ッチ…あいつの子かよ………ってことは…………お前、母親は」

    「ははうえは海白麟やけど……」

    言うた途端、元から悪かった顔色を一層暗くなりよった。ぶつぶつと1人で呟いていてよく聞き取れん…。

    「わたしは名乗ったで!あんたも名乗りぃ!」

    「あ?……俺は……紅麟……適当におじ様とでも呼べばいい…」

    「???なんでおじ様なん???」

    「なんでも」

    そう言うと少し遠くを見るような目をしよる
    わたしを通して違う誰かを思うとるみたいな…


    「……まぁ!………き嗣様ぁ!!………………!沖嗣様?!なぜこのようなところに…もう中へ参りましょう。このままでは暑さにやられてしまいますよ」

    「え?あ、はい…」

    気づいたらかなり時間が経っていたようで
    額には汗が滲んどった

    「…あ、あの人も一緒にええ?」

    後方を指さす

    「?あの人、とは、どなたのことですか?誰もおりませんが……」

    「え」

    言われて後ろを見ると、もうさっきの人はおらんかった…

    「あれ…いまさっきまで話しとったんに…」

    「暑さで幻覚でも見たのでしょうか……とにかく中に入りましょう…奥様と瑚白様もお待ちですよ」

    「…はい」

    幻覚…だったんやろうか…それにしても随分とはっきりした幻覚やな……

    来た時より太陽はかなり傾いていて、段々と夜が近づいて来ているのを感じる


    また、会えるやろか…


    名前以外は何もわからんかったけど、
    話してて何故か心が温かくなった…








    そんなわたしの願いが叶うのは、それからまたしばらく経ってからやった
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