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    pimankoubo

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    pimankoubo

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    #kbdnワンドロ #kbdnワンドロ_168
    お題ニット・セーター

    今日から始まる
    いいふうふの日めでたい

    #kbdnワンドロ
    kbdnOne-dropping

    今日から始まる 暖かい部屋の中
    リビングのソファから長い足がひょっこりと飛び出している。
     仕事を終え帰ってきた大好きな我が家に帰ってきて一番最初に飛び込んだ景色がそれだった。
    静かに静かに近づいて、そっと後ろから覗き込めば、長い腕を身体にうまいこと巻き付けてすやすやと眠るキバナがいた。
    「キバナ……キーバーナー。ただいま。帰ってきたぜ」
    頬をつついても、お揃いのセーターの裾を引っ張ってもキバナは安らかな夢の中にいる。
    あまりに反応がないからだんだん面白くなってきたダンデが、冷たい手をセーターの裾から突っ込んでキバナの腹筋に指を這わせても
    「んー…………」
    と一度唸って器用にソファの上で寝返りをうったきりまた静かに寝息をたて始めてしまった。
    どうやらよほど深い眠りに落ちているらしい。
    そんなキバナの様子にもダンデは気分を損ねるどころかますます笑みを深くして、ソファの前に移動してキバナの広い背中にぽすんと自分の背中を預ける。
    触れた所からじんわり体温が伝わり職場からの移動中にキンキンに冷えてしまった身体が少しずつ暖まって来る気がする。
    「君は冬でも暖かいなぁ」
     肌触りのよいセーターに後頭部をグリグリと押し付けくすくすと笑う。
     君と恋人になるまで誰かがとなりにいてくれることがこんなに暖かくて幸せなことだなんて思わなかったなぁ……まさかバトルばかりの世界に生きていた俺が恋人とお揃いのセーターを着て、仕事の後すぐに次のバトルの準備をするわけでもなくこんなにのんびりとした穏やかな時間を過ごすようになるだなんて全く思わなかった。
    そんなことを考えながら身に纏っていたコートのポケットをごそごそと漁りここ数日潜ませたままだった小さな四角い箱を取り出す。
    「なぁ、キバナ君と恋人になって毎日幸せなことばっかりだ。でも俺は欲張りだからもっともっと君と幸せになりたいし、君との関係も恋人から、家族に進化したい」
    そういって体勢を変え、キバナの背中に耳をぴったりと寄せ瞳を閉じる。
    とくりとくりと規則正しいキバナの音を聴きながら、手の中の箱を握りしめる。
     この箱の中身を君は喜んでくれるだろうか?
    それとも戸惑うのだろうか?
    びっくりしてから飛び上がって喜ぶだろうか?
    もしかしたらすぐに写真を撮ってポケッターに乗せるのかもしれない。
    「なぁ、キバナ俺と結婚してくれないか?」
    眠るキバナの背中にそう呟くがやはり返事はない。
    「まぁ、眠ってる君に言っても仕方ないか。…………まだ起きてる君に直接言う勇気はないから返事が聞けるのはまだまだ先なんだろうなぁ」

    「…………いいよ。結婚しようか」

     突然返ってくる筈の無かった返事が返ってきた。
    驚いて振り返えれば、ちょうどキバナが器用に体勢を変えこちらを向くところで、ダンデは驚きのあまり口をパクパクと動かすことしか出来ない。
    「寝た振りしてたら可愛いことし始めるし、凄い嬉しいこと言ってくれるから俺様びっくりしちゃった」
    そういってキバナが固まったダンデの脇に手を差し込みひょいっと持ち上げ向き合う形で膝に乗せる。
    「……な、え?……ぁ……」
    みるみるうちに赤くなる頬に口付けを落とされれば一瞬で真っ赤なりんごの出来上がりだ。
    「ダンデ……ダァンデ…………ダーリン、かわいいこちゃん、なんも言ってくれないと俺様覚悟を決めて返事したのに、寂しくなっちゃうなぁ」
    そういってすりっとキバナの鼻先が首を掠めそのまま肩に顎が乗せられた。
    今すぐ逃げ出したいのにキバナの腕に腰をがっちり抱かれてしまっているせいで逃げ出すことも出来ない。
    「ぅあ……あ…………」
    言葉にならない声で呻けば、耳の後ろでクスリとキバナが笑う。
    先ほどまでは心地よかった暖かさが、今では焦げそうな程熱くて
    着心地のよかった筈のセーターがまるでダンデの肌に張り付く様に感じてしまう。
    あぁ、熱くて熱くて目が回ってしまいそうだ。
    「ねぇ、ダンデ」
    そういってキバナが肩から顎をどかしダンデの顔を覗きこむ。
    優しく笑う碧は穏やかな優しく光を湛えてダンデを映していた。
    「今日いいふうふの日なんだって。さっきダンデがプロポーズしてくれたことだしさ、俺様達ふうふになろうよ。家族になろう?」
     そういったキバナにダンデはりんごのように甘く頬を染めたままコクりと頷いたのだった。









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