執着俺は、一体誰だったのか。
自分が存在していると気付いた時には、既に覚えてはいなかった。
覚える必要が無いことだったのか、覚えていたくないことだったのか今となっては分からない。だがそんなことはどうでも良かった。
俺はあの場所に、マウンドに、立っていなくてはいけない。自分の存在意義と言ってもいい程それだけは強く覚えている。
だからあいつらは邪魔だ。あいつらは俺の場所を奪う。
地位も、名誉も、信頼も、憧れも、夢も、なにもかも引き受けたあいつらは。
そこをどけ、そこにいて得られるそれは全部俺のものだ。そこにいれば俺は全部埋めることが出来たのに、それをあいつらが邪魔をした。
憎い、悔しい、辛い、苦しい、あいつらを、あいつらをあそこからどかさないと、だって
ーーーあそこにいて良いのは俺だ。