星降る5降新BDSS 現在5/4 23:55。日付けが変わるまであと5分だ。つまり、オレの誕生日が終わるまであと5分。今日はたくさんの人からお祝いの言葉やプレゼント、実際にあって食事に行ったりもした。帰宅したのは22時頃。前もって会いに来ると連絡はきてたが、ギリギリになるかもしれないと今朝連絡があった。予定があって、帰宅は22時頃と伝えてあったけど……まだ来るという連絡は入っていない。流石に何かあったんじゃないかと思う時間帯だ。警察庁に様子を見に行こうかと、ソファーに落ち着けた腰を上げる。すると……
ピンポーン
「やっと来たのかよ」
時刻は23:58。本当にギリギリだ。急いで玄関に向かって、鍵を開ける。ノブを回すと押し開ける前に引っ張られて思いがけず態勢を崩してしまう。危ねぇ!と目を瞑るとボスッと弾力のある壁、ではなく少し息を切らせた零さんが受け止めてくれた。俺がおかえりと言う前に、ギュッと抱きしめられた。耳元に零さんの息がかかる。
「明日からの君の時間を全部、僕にくれないか」
カチッと時計の針が重なった。実際には確認していない。だって、ここは玄関だから。夜景の見えるレストランでも、夜空を映す宝石みたいな海岸でもない。オレの家の玄関。
「……」
「あれ? 違った?」
「っ~! 違わねぇ! ていうか、それプロポーズじゃん」
「そのつもりで言ったんだけどなぁ」
明日はもうやってきた。誕生日じゃない。なんでもない日々。
「返事はくれないの?」
零さんがもう答えを分かったような顔で聞いてくるから、ちょっと意地悪してやろうと抱きしめられた腕の中から逃げ出して家の中へ向かう。ちょっと!と慌てた声が聞こえたから、耐久力のないオレはすぐに折れて後ろへ振り向いた。
「オレより先に絶対死ぬなよ。全部やるんだから」
「君こそ容易くいなくならないでくれよ」
「……精進します」
「ふふ。さぁ、遅くなったけどお祝いさせて? ケーキ作ってきたから」
「え! 零さんのケーキ?! やった~そうだ! 今日のプレゼントでワイン貰ったから飲もうぜ!」
それは普通に日本茶にしないか?て零さんは苦笑いしてたけど、オレは少し酔ったくらいでちょうどいい。今更はずかしくなってきた。でも、零さんに貰った言葉は嬉しくて、感情の拠り所が分からない。素面で余裕出せるほどの耐性は持ち合わせてねぇんだよ!
「あ、新一君」
「んー?」
「遅くなったけど、誕生日おめでとう」
「! あ、ありがとう!」