赤い目をした蝙蝠昔話をしよう
私はごく一般的な家庭に産まれました。
小学生の時、授業の一環で発表会の為に調べた資料を見て初めて夢を見つけました。
私の胸は高鳴りました。しかしこの夢は家族は告げず、胸に秘める事にしました。打ち明けたら私の夢は叶わないと思ったからです。
後に高校から防衛大学へ進み勤めた後、日本を飛び出しました。
この国では夢は叶わないと思ったからです。
私は調べたいたるところにコンタクトをとり、
傭兵になりました。
加わったチームは数知れず、戦争に巻き込まれた街や人を守ったり、援助したり、対象の迎撃、追撃、様さな経験をし、その中では勿論、大きな怪我も体験しました。
初めて戦地に出た時は爆音などで興奮状態になり、初日はやり過ごしましたが、戦いの後、すぐ襲ってきた恐怖感は酷いものでした。震えが止まらなかったことを思い出します。
慣れていけば、気にならなくなるといいますか、麻痺していくけれど、昨日いた仲間が今日の終わりにはいない事に慣れる事はありませでした。
慣れた様なフリだけが上手くなっただけなのかも。
給料は面白いくらいのどんぶり勘定で、束で渡されましたが、私は金が欲しくて傭兵をしているわけではなかったので、最低限ポケットに突っ込んで仲間にあげてしまいました。
仲間の中にもそれぞれの目的で集まったものがいるので、家族や故郷の為、金と女と遊ぶ為。
本当にそれぞれでした。家族や、置いてきている女に会う時に使える金になるのならいいのです。
生憎今もその感覚が残っていて、組んだ仲間に困惑され日本は物価高いからと諭されています。
そうですね、同じです。私は金なんて興味ないのです。
誰かを殺すことも多分本当は。いや、どうだっか、ごめんなさい。少し記憶が曖昧で。
厳しい環境の方が多いですが人間関係はよく、よい環境もありました。仲間と村の人たちと…束の間ですが、交流することもありました。
そうそう、子供達が時々お菓子をくれるんです。
食料が尽きることなんてお互い様なのに。兵隊さんって小さな手でくれるんです。
有難うって。とれはとても美味しくて。人に戻れたような…パッキリとわって2人で食べた思い出がとても印象深く残っています。
あれ、その人たちどうなったんでしたっけ。
結構長くこの仕事にはついていましたが
年齢もあったのですが、いろいろ考える事があって帰国しようと思いました。
あれ、なんで帰ろうときたんだっけ
怪我もしました、最後に針で攻撃されて、ロケットの爆風にやられました。建物も壊れて背中に火傷と傷ができました。
仲間には死んだと思われていたみたいですが、悪運が良いので無事復帰することができました。
治療の間はぼんやりしていました。
ほぼ戦い続けていたので、長時間横になってることなんてなく。
夢をたくさん見ました。
頭の中で誰かが言うんです。
お前は何がしたかったんだって。
何が手に入ったんだって。
何を叶えたんだって。
何も、なかったんです。
何も。
隣に転がる仲間のしたい、ビスケットをくれた子供の飛んだ腕、煙、火薬の匂い、大き爆発音、終わらない何も。終わって手渡される金。
今もこうして私も人も国も世界が人を殺してる。
正しい事をしていたつもりだった。
そんなことはなかった。
私が選んだ正義は間違いだったのだろうか
私の夢は叶わない。
叶わないからやめた。意味がないから。
ここに来たのはいつだったか。
私は組織が好きではないし、目的のものではなかったけれど、
今ここにいるこんな場所でも正義というなら
見たいと思ってみたのです。
これを正しさと貫くというのなら
その先が見たい。
ここにいる人たちは何を見つけて
何に辿り着くのか。
見たいんです
私が生きているうちに、見れるといいのですが。
夢は叶わない。
私はただ人を殺し
夢は叶わない。
改めまして、はじめまして。
私は唯の蝙蝠。光に愛されなかった暗闇に紛れるもの。
私の夢は…もう忘れた。