幼馴染 その家からは、いつもバスケットボールの音がした。
私は、その家のいわゆるお隣さんで、朝から晩までボールの音がするのを聞いていた。まあ、お隣さんと言っても距離はそこそこ離れているし、木やらなんやらのおかげでそれほど気にならない。
私の部屋の窓からは、その家のバスケットゴールが見える。私は、毎日飽きもせず、父親とバスケをしている彼のことをずっと見ていた。負けてばかりで、何がそんなに彼を突き動かすのだろうと、不思議だった。
ただ、いくら家が近所だとはいえ、仲がよかったのかどうかと言われると素直に頷けない。何故なら、引っ越してきてばかりのころの彼は、バスケ部の先輩たちとの折り合いが悪く、クラスメイト達からも遠巻きにされていたからだ。
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