第6話女子バスケット部だけでなく剣道部にも所属している✿の朝は早い。剣道場での朝練に参加するためだ。
県大会を最後に引退のつもりでいるが、今年はどこまで行けるのだろうか。
人数が少ない剣道部とは言え、初戦を前に気合の入る部長や部員の士気を見ていると、自分も身が引き締まる。
「けがもあったし無理しなくていいとは言われたけど、体動かしたいのも本音なんだよね…。」
ひとり呟いて、ガラリと自分の教室のドアを開けると、まだ誰もいない教室の自分の席の前に、立っていた長身の男が振り返った。
(なんというか…既視感だねこれ!?)
一度教室に寄り、鞄だけ置こうと思ったが、計画変更はやむをえまい。
「…間違えました。」
迷わずガラガラとドアを閉めようとすると、男は猛ダッシュでドアに詰め寄った。
9829