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    21Md7e

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    決闘中のサイザーくんの目かっこいいねってはなし

    決闘してるサイザーくんとエデ ――名前も知らないその人に、ひと目で惹かれてしまった。
     砕け散った薄氷が舞い上がって、靄が勢いよく立ち上がる。その舞台の上で、目の前の対戦相手を見据えるアイスブルーの瞳が爛々と輝き、周囲の靄に溶けることもなく高揚に燃えている。傍に自分の分身をいくつも控えさせながらも、ただ一対、色濃く輝き、ただただ目の前の強敵を見据える、心をひきつけてやまない瞳。まるで新雪のように静謐で涼やかな、白銀の髪のひとふさ、その隙間から覗く熱に、この決闘の勝敗が裏打ちされているかのようで。
     ずっと息を呑む決闘が続いていたけれど、響く歓声の中、エデはついに呼吸を忘れてしまった。
     
    「なあ、今の左手の選手やばすぎ」
    「最後のタイムターナーとグレイシアスマキシマの決着見た?」
    「タイミングえぐかったわ、あれ決まるんだ? なあエデ……エデ? おい!」
     わ、と詰まっていた息がこぼれた。びっくりした、と声を漏らしながら横を見れば、ミチルが肩を掴んで揺らしてきていたらしい。「ほうけてんぞ」とミチル。あれ、と思って目線を正面に戻せば、決闘後のお辞儀を終えて、ちょうど舞台からはけていくところのようだった。ついそれを目線で追って、最後まで見送ってから、はたと思い出してまたミチルを見れば、なんだかじっとりとした目線。そんなこと意にも介さず数度目を瞬かせたかと思いきや、エデは途端にその顔を喜色満面にあふれさせた。
    「つっ…よいねえ………! 見た? ほら、最後の」
    「俺らの話聞いてた?」
    「まあまあ」
     わいわいと豊かな身振り手振りで今見た決闘を語り始めたエデに、チヨがうんうんと頷いてやるのを横目に見て、ミチルが肩をすくめる。そうして思う存分話し倒してしばらく、ようやっと落ち着いたかと思いきや、また決闘のステージに目を向けて、今度は両頬に手を当ててむふむふと楽しそうに笑っている。
    「あんな魔法の使い方が出来るんだ、すごい、凄いなぁ……」
    「マスターの人たち、流石にテクニックからくる強さって感じだもんね」
    「エデの呪文、殴るだけだもんな」
     ミチルがそうやって悪戯っぽくほくそ笑んでエデを小突く。けれども、いつもと違って怒るポーズを見せるようなリアクションすらなく、ただきらきらと目の前の舞台を見つめるエデを見て、唇を突き出し「……ま、俺らもだけど」と呟くミチルに、なゆのがふっと鼻をならして静かに笑った。
    「ねえ、さっきの人なんていうのかな?」
    「え、なに、名前?」
     興味津々、瞳をきらきらと輝かせてそう言ったエデに、なるほどその特性を知り得た友人たちが顔を見合わせる。別にそれが悪いわけではないけれど、あまりに無警戒にうろちょろして厄介事を引き込んでくる一面があることを、彼らは既に身に染みて理解しているのだ。しっかりものです、というような顔をして、実際面倒見はいいのだけれど、なんだかはちゃめちゃなところがある。
    「エデ、また他寮に絡みに行こうとしてね?」
    「だってすっごい強くてかっこよかったでしょ、決闘についてお話してみたいもの」
     大人しい顔をして、実は結構な決闘フリークだ。まだまだシルバー帯をうろうろしているけれど、結構な熱中具合で、たまに決闘クラブに数時間居座っていることもある。そんな彼女には今の決闘がよほど魅力的に見えたらしかった。
    「君2人分くらいあったよ、身長」
    「そんなわけないだろ」
     いや、そう言われると、たしかにとっても大きかった気がしてきた。でも仮に身長が2人分だったとして、エデにとってはだからどうということもない。決闘には身長も大事なのかなあ、と思うくらいである。
    「わたし2人分なら、なゆ3人分だわ」
    「なんで飛び火させるんだよ……!」
     いきなり名前を挙げられてぎょっとした様子を見せるなゆのだが、反論しようにもエデは既にどこ吹く風。期待に胸を膨らませ、少しばかり上気した横顔に毒気を抜かれて、ため息ひとつ、肩を落とす。
    「はあ、あんなカッコよく勝ってみたいなあ〜」
    「ダメだ、聞こえてないよ。帰りに大広間で牛乳をもらっていこう?」
    「ぐ……、一抜けしたからって〜……」
     やいのやいのと盛り上がっているうちに次の決闘の試合が始まって、4人の思考はそちらに割かれていく。けれどエデの頭の中には、どうしても忘れられない青が焼き付いたままだった。

     
     
     
     
    「昨日廊下で会ったから挨拶してきたの」
    「まじ?行動が早すぎ、なんなのお前」
    「この間の決闘について感想言いたかったけど、うまく言葉が思いつかなくって」
    「エデが言葉に悩むなんて、天変地異がおきそうだね」
    「だから身振り手振りメインで伝えてきたよ!」
    「君ってほんと……逞しすぎ」

    ――――――――――――――
     エデとサイザーくんのお話は
    「名前も知らないその人に、ひと目で惹かれてしまった」で始まり「何か言いたかったけれど、言葉がうまく出なかった」で終わります。
    #こんなお話いかがですか #shindanmaker
    shindanmaker.com/804548

     サイザーくんどこにおんねん!
     冒頭、サイザーくんの決闘への昂りがカッコよくて好きだなぁと青い瞳が素敵だなぁという思いから長々瞳について書。ここが書きたかっただけとも言えるけど、更に尻が決まってると難しいね、、!尻に持っていくためにいろいろ書いてみたけど、マブたち楽しそうで良かった。勉強。
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