クラールくんとエデがだべってるだけ サイザーくんもちょっといる――親愛なる魔法使い エデナ・エイヴリング
上質な便箋を手に、その書き出しを何度も目で辿る。……わたし宛だ!ついに!紛れもなく!便箋を持つ手にも思わず力が入る。皺がより、慌てて深呼吸をしてはそっと封筒に戻し、奥歯をきゅっと噛んで――文字通り噛み締めるような想いで封筒を見る。ついに――。
「隣、失礼してもいいかな」
背中に降り掛かってきた声にはたと顔を向ければ、印象的な緑の瞳が自分を見下ろしていた。
「クラールくん、これから朝食?はやいんだね」
まだ大広間の人はまばらで、各寮のテーブルに数人程度。おそらくクィディッチの選手たちが、朝練前に腹ごしらえに来ているのだろう。
「いつもはそうでもないんだが、今日ばかりは用事をすませてきたところでね」
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