Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    みそぢる

    @misodiru
    見たい人だけ、気になる人だけみてくれれば
    それで良い。文句は受付ませんが感想は嬉しい。

    リクエストは受付ません。

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 2

    みそぢる

    ☆quiet follow

    入部と6つ離れた海外に住む姉の話。

    #ロベゆう
    actorWhoPlaysComicRoles

    姉妹。五輪高校には寮制度もあったが、私は
    実家からの登校を希望した。
    正直なところ、学費が結構かかる学校で
    そこに寮費なども加算すると…
    両親に、そこは気にするなと言われたものの
    子供の私でも気にしてしまう事情で。
    「大丈夫、早起きは慣れてる」
    そんな返事ひとつで断った。
    内心ちょっとだけ
    寮生活には憧れあったけど。

    1-A 私のクラス。
    入学式では誰かに会っていたんだろうけど
    何せ、この学校の規模といい
    生徒数は半端ない。覚えてるはずがない。
    覚えてることと言えば
    朝少し眠かった事と、あとは
    早く到着しすぎてウロウロしていた時に
    そこで見かけた三人組が
    グラウンドで何やらしてたぐらいだろうか。

    担任の先生からの挨拶や
    皆のぎこちない自己紹介なども済めば
    部室棟へ移動となった。
    早速入部届けを提出しなければならない。

    「新入生かな」
    そう背後から声をかけられ振り向くと
    野球のユニフォームを着た男子が立っていた。
    「あ、はい!入部届けを出そうと思って」
    続けざまにテニス部だと伝えると
    場所を丁寧に教えてくれた。
    優しい先輩だなぁ、と内心思いつつ
    笑顔でお辞儀。
    「ありがとうございます」
    「いや、迷ってるのかな?と思ってね。
    この学校はやたら広いから最初のうちは
    慣れるまで苦労すると思うし」
    「そうですね…あの、先輩は野球部、ですよね?」
    「ああ、すまない。俺は沢村修一、3年。
    この通り野球部に所属しているよ」
    なんて爽やかな笑顔をする人なんだろう。
    あぁ、こんな優しい先輩がいる五輪に
    入学して良かったと、少しだけ思えた。

    「私は御園…、御園ゆうです。えっと、
    そろそろ部室に向かいますね」
    「御園さんか。因みに俺の弟も同じ1年で野球部なんだ、もし会うことがあれば仲良くしてやってくれ」
    「そうなんですね。わかりました、
    覚えておきます、では!」
    また一礼し、その場を後にした。

    沢村さん、かぁ。
    弟も野球。まるでうちの姉妹のようだ。

    姉は今海外で暮らしている。
    高校の進学を海外のテニスアカデミーへと
    進学を決め、留学。年はわたしより6つ上。
    そしてプロになり、それに婚約者もいる。
    全てが早く、迷いが全くなかった姉と違い
    私はなにかと優柔不断。
    確かにテニスは好きなのだけど
    どうも情熱が姉よりは低かった。
    ただ家族から牽かれたレールを
    ただ走ってる。そんな感じ。
    本当にやりたいことはテニスではないと
    わかってるんだけど…

    姉とは違う。
    私は…私なりに人生を歩みたい。
    そう思いながらも、結局は
    家族の願いでもあるテニスプレイヤーの道を
    進むべく、五輪へ入学した。
    親に敷かれたレールはとても緩やかで
    それでいて、楽に進むことが出来た。
    脱線してまで未来を変えることが
    怖く、そして不安だから。
    意志の弱さ、決断力の乏しさに
    そんな自分自身が嫌いだった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited

    related works

    recommended works