東の空から鳥の声。
朝陽に早起きな彼らに促されて、少し重たい瞼を持ち上げた。
「……ふぁあ」
大あくびを一回。
凝り固まった筋を伸ばしながら時計を確認した。
朝。早くも無く、遅くも無く。丁度良い時間と言える。今日は休みだし、焦る必要が無いのは最高だ。二度寝なんてしたらもっと最高だ。
「…………起きるかー」
程よく目が覚めたから二度寝ではなく身支度を選ぶ。こういった気分での選択も休みだからできること。
「起きたか?」
それでもぼんやりしていた頭に届く、耳に馴染んだ低い声。
顔に掛かって何も見えない髪をかきあげて、朝の挨拶を。
「もーにん。早起きだな」
「そうでも。珈琲いるか?」
「ナァイス。砂糖はナシで」
「了解」
身支度を終えているはずの恋人は今日も小汚い。
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