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    花都(はるさと)

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    花都(はるさと)

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    フリヌヴィフリです。実装前にしか見れない幻覚。
    最初だけフリーナ視点です。誤字・脱字等は目を瞑ってください…
    解釈違いは許してください…

    あなたの心を掻き乱すのはフリーナ「は……?」

    たまたま道端に置いてあったゴシップ記事を、興味本位で読んでしまったんだ。少しは笑えるようなことが書いてあるだろうと思って。
    でも、でもそんなの載ってなかった!その代わりに、とんでもないことが載ってるじゃないか…

    フリーナ「ヌヴィレットが…パパ!?」

    いや、これはあくまで出鱈目」

    ゴシップ、噂に過ぎない。この内容が本当かどうかなんて、そんなのわからない。
    でも、でもだよ?もし本当だとしたら、彼に子供がいるってことだよね?そうしたら当然…妻もいるってことでしょ?

    フリーナ「はは、そんなわけない…そんなわけ…」

    よくわからない感情が胸の中でぐるぐると渦巻いている。今にも壊れてしまいそうなくらい、苦しい。

    フリーナ「なんで…」

    胸の中は騒がしいのに、頭の中に浮かんでくるのは、今まで僕が見てきた彼の姿ばかり。僕に向けられた視線、僕にかけた言葉。全部が、頭の中ではっきりと思い出せる。
    ああ、そっか…多分この気持ちは、そして僕は…

    フリーナ「僕は、ヌヴィレットのことが…好きなんだ…」

    どうしようもなく苦しくて、悲しい…こんな気持ちに気づかなければよかった…

    って!ちょっ…ちょっと…こんなに落ち込むなんて、僕らしくないじゃないか!
    一回落ち着こう、まだ可能性はある。この記事は嘘かもしれない…本当かもしれないけど…

    フリーナ「本人に聞かないと、わからないじゃないか…!」

    ---------------------------------------------------

    そんなこんなでフリーナはヌヴィレットの自室にやってきたのである。彼は目の前のデスクで仕事をしていた。

    ヌヴィレット「……何のようだ」

    ヌヴィレットは半分呆れたようにフリーナに訪ねた。明日の審判の内容を確認していたところに、フリーナが突然尋ねてきたのだ。内容によっては面白くないと文句を言うというのに、邪魔しにくるとは。どこまでも自分勝手な神だと、ヌヴィレットは思った。

    フリーナ「聞きたいことがあって…」

    フリーナはそう言ったが、一向に話を始めようとしない。ヌヴィレットの方をちらちらと見ながら、1人で頭を抱えたり、唸ったりしている。

    ヌヴィレット「用がないなら帰ってもらおうか。」

    フリーナ「ある!あるから来たんだよ!」

    ヌヴィレット「じゃあ早く話してくれ。」

    フリーナ「えっと…」

    先ほどからこのやり取りの繰り返しである。会話が進展する様子が全く伺えない。いつまでもこんなことに時間を割いていられないヌヴィレットは、資料を机の上にまとめると椅子から立ち上がった。そしてフリーナの方へ向かう。

    ヌヴィレット「私も忙しいんだ。いつまでも貴方に構っていられない。」

    フリーナ「うっ…」

    目の前に来られては、視線を逸らすこともできない。
    フリーナは一度深呼吸をすると、意を決して話し始めた。

    フリーナ「君、この記事読んだかい…」

    ヌヴィレット「ゴシップか…?そんなもの読んでも何にもならないだろう」

    フリーナ「読んでないの…?」

    ヌヴィレット「なんだ、貴方のことが都合悪く書いてあるのか?」

    フリーナ「そうじゃなくて…君のことが書かれてるんだよ」

    ヌヴィレット「何?」

    ヌヴィレットは思った。確かに最近しつこい記者がいたなと。何も答えていないというのに、記事を完成させたらしい。

    彼ヌヴィレット「何が書いてあったんだ。」

    フリーナ「………」

    ヌヴィレット「どうせ出鱈目だろう。だが、それを信じる奴がいるのも事実だ。変な誤解を招かれると困る。だから教えてくれ。」

    フリーナ「……君が、パパだって。」

    ヌヴィレット「……?」

    何馬鹿なことを言っているんだという目で、ヌヴィレットがフリーナを見つめる。

    ヌヴィレット「冗談はよせ。本当の内容を教えろ。まさか、揶揄うたにきたんじゃないだろうな…」

    その言葉を聞いたフリーナの中で何かがプツンと切れる音がした。こいつ、僕の気も知らないで…!と、もうどうにでもなれと思ったフリーナは、全てをヌヴィレットに話始めた。

    フリーナ「冗談じゃないよ!ほら、これを読んで!君がパパだってさ!いつ結婚なんてしてたんだよ!今頃、街では子持ち審判官とか言われてるんだよきっと!」

    ヌヴィレットは顔に突きつけられた記事を手に取ると、表情を変えずに黙々と読み始めた。そして読み終わると、再びフリーナの方を見て言った。

    ヌヴィレット「だから何だというんだ?」

    フリーナ「えっ」

    予想していなかった返事に、フリーナは戸惑う。

    ヌヴィレット「貴方が気にすることでもないだろう。」

    フリーナ「気にするよ!」

    ヌヴィレット「何故だ。」

    フリーナ「何故って…」

    ヌヴィレット「仮に私が結婚していて子供もいたとしよう。貴方に何の関係がある?」

    フリーナ「そ、それは…」

    フリーナは焦った。このままだと、自分の気持ちを洗いざらい喋ることになってしまう。
    そして、彼に真実を告げられたら、最悪の場合、この気持ちは…
    しかし、フリーナは話し始めた時から覚悟はしていた。この感情を、彼に伝えることになるかもしれないと。こうなったら自分の気持ちにケリをつけよう、そう思った彼女はポツポツと語り始めた。

    フリーナ「関係、あるんだ…」

    ヌヴィレット「だからそれは何故だ。」

    フリーナ「簡単な理由だよ…」

    ヌヴィレット「簡単な…?」

    フリーナ「僕は、君のことが、好き、だから…」

    それを聞いたヌヴィレットは明らかに動揺していた。彼が手にしていた例のゴシップ記事が、彼の手から滑り落ちた。

    フリーナ「君のことが好きなんだ…」

    ヌヴィレット「……今度こそ揶揄ってるんじゃないだろうな」

    フリーナ「嘘じゃないよ…これが、嫉妬っていうのかな。この記事を読んだ時に、想像してしまったんだ。君が、愛する家族と仲睦まじく生活している様子を。君の隣にいるのは僕の知らない誰かで、君は、僕が見たこともないような優しい表情を、家族に向けるんだ。」

    ヌヴィレット「……」

    フリーナ「そう思ったら、胸の辺りがすごく、痛くて…苦しくて…ねぇ、これが人を好きになるってことじゃないのかい…?結婚している君ならわかるよね、教えてほしいんだ…」

    今にも泣きそうな顔でフリーナはヌヴィレットの方を見つめる。

    しばらくの間、2人は一言も発さなかった。
    そして、その間の後に、沈黙を破ったのはヌヴィレットだった。
    彼はため息を一つつくと、フリーナの頭にぽんと手を置いて、優しく撫で始めた。

    フリーナ「はぁ…!?な、慰めてるつもり…?」

    フリーナは顔を真っ赤にしながらも、抵抗するようなことはしなかった。目には涙が滲んでいる。

    ヌヴィレット「…私はそもそも恋愛などしたことがない。だから結婚もしていない。」

    フリーナ「……ほんと?」

    ヌヴィレット「あぁ、本当だ。嘘だと思うか?」

    フリーナ「君、僕を子供のように扱うだろう…」

    ヌヴィレット「貴方がどう思おうが勝手だが、こんなことに嘘をついても何も得はしないだろう?」

    フリーナ「…うん」

    話している間、ヌヴィレットはフリーナの頭を撫で続けた。普段は感じることのできない、少し特別な、そんな彼の優しさがそこにあった。

    ヌヴィレット「誤解は解けたか。」

    フリーナ「……うん、ありがとう…」

    ヌヴィレット「それならいい。」

    フリーナ「……でも、1つだけ。」

    ヌヴィレット「なんだ、まだ他にも記事が?」

    フリーナ「ううん、違う。その…君は僕のこと、どう思ってるんだい…?」

    フリーナの頭の上にある手が止まる。ヌヴィレットは目線を彼女からそらした。それもまた、明らかな動揺を示していた。

    フリーナ「…君、何でさっきから動揺してるんだい…僕が君を好きだって言った時も、雑誌を落としてたじゃないか…」

    ヌヴィレット「……」

    フリーナ「なんか言ったらどうなの?僕だって言ったんだよ?」

    ヌヴィレット「……」

    ヌヴィレットはフリーナの頭から手を離すと、少し躊躇いがちに話した。

    ヌヴィレット「…嬉しいと、思ってしまったんだ。」

    フリーナ「何が…?」

    訳がわからないというように、フリーナは首を傾げる。

    ヌヴィレット「貴方が、嫉妬したというのが。」

    ヌヴィレットがそう言うと、再び沈黙が流れた。
    2度目の沈黙を破ったのは、今度はフリーナの方だった。
    先ほどよりももっと顔が赤くなっているのは、気のせいだろうか。

    フリーナ「はぁっ!?そ、それって、どういう…」

    ヌヴィレット「…言わないとわからないか?」

    フリーナ「……君の口から聞かせて欲しい。」

    ヌヴィレット「……はぁ。」

    こいつには敵わない、という風にまた一つため息をつくと、ヌヴィレットは真っ直ぐフリーナの方を見て言った。

    ヌヴィレット「私も、貴方のことが好きだ。これでわかったか?」

    フリーナはそれを聞くと、涙を拭って、それから笑顔で返事をした。

    フリーナ「……うん!わかったよ。君の気持ち、伝わったよ。おかしいな、嬉しいはずなのに、すごく恥ずかしい…」

    ヌヴィレット「……」

    ヌヴィレットは何も言わなかったが、その顔は微笑んでいた。

    フリーナ「……ねぇ、ヌヴィレット。」

    ヌヴィレット「どうした、まだ何か不安か?」

    フリーナ「違うよ、えっと…その…これから僕たち付き合うんでしょ…?」

    ヌヴィレット「…流れだとそうなるな。」

    フリーナ「だよね!だから…その…」

    フリーナはヌヴィレットの服をきゅっと掴むと、少し躊躇いがちにヌヴィレットの方を見ながら、囁くような声で言った。

    フリーナ「恋人らしいこと、いっぱいしようね。」

    普段の態度とは打って変わった、まるで別人のような、可愛らしいただの少女の姿がそこにはあった。
    ヌヴィレットはしばらく動けなかった。聡明な彼の頭を持ってしても、この状況はすぐには飲み込めないらしい。

    フリーナ「じゃ、じゃあまたね!明日の審判も期待してるよ、ヌヴィレット!」

    そう言うと、逃げるようにフリーナは部屋を出て行った。
    1人残されたヌヴィレットは、服に残ったシワを見つめると、一際大きなため息をつき、頭を抱えた。

    ヌヴィレット「……何故貴方はいつも私の調子を狂わせるんだ…」

    その言葉はもちろん、フリーナの耳には届いていない。
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