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    xjellyfishkingd

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    xjellyfishkingd

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    狂い咲く花は風を乱吹く7き、凶兆だ!

    ああ、王妃よ。今すぐに生まれた子を炎へ焚べてください

    あるいはガンジス川へ流しましょう!

    王よ

    王よ、その凶兆の王子を今すぐ殺してください

    王よ、王よ


    「煩い黙れ…黙れ…ッ」


    生まれ落ちた事を非難された
    物心がつく前から向けられた非難と否定の目線
    自分はここにいてはいけない。存在してはいけないと
    息苦しい空気

    そんな息苦しい空気と圧の中で、善き王子に、王に習おうと必死だった。
    周りの視線と表情を常に気にしながら身を引き締めていた。

    あの憎き半神達が現れるまでは

    既に立場が危うかった己を更に追い込みをかけるかのように、あの兄弟達は力も知恵も美も…自分が必死に努力して得た事を、まるで息をするかのように最も簡単に誰よりも上手く美しくこなしてしまうのだ。

    まさに選ばれた神の子達

    凶兆の子である自分と違って

    だからこそ努力した、血の滲むような泥水を啜るような思いで、毎日毎日

    そんな血と汗と泥に塗れた醜い己と違い、光輝き美しい彼らが疎ましかったのだ

    嫉妬しかなかった

    憎しみしかなかったのに

    「憎しみ」から「愛」は生まれてしまった


    >>>>>>>>>>>>


    「ここか?」

    ビーマは懐かしい匂いの元を辿ると、そこは桃源郷のような花畑だった。
    清々しく青い空の下、色とりどりの花が咲き誇っていて、近くには湖がある。

    「……」

    生前、弟達を殺され傷心したドゥリーヨダナが逃げ隠れていた湖にとても似ていた。湖の側へと歩むと、藤色の長く美しい髪が靡いた。

    「ハ、またここに隠れるのかお前は」

    「……」

    フワッと髪は風に靡かれる。すると目の前の人物は振り向いた。

    「……、スヨーダナ」

    目の前にいる少年の姿を見て、ビーマの懐かしい思い出が走馬灯のように脳内を駆けた。

    初めて会った、あの日から、ビーマはドゥリーヨダナこと、スヨーダナに熱い恋情を抱いた。生まれて今まで見たことがない花に触れたくて、しかし風神の子は己の神の力に無垢であった。

    その美しい花を散らしてしまい、手折ってしまった。

    しかしその花はどんなに散らされようと手折られようと、風に「向き合って」くれたのだ。風神の子はそれを「優しさ」と勘違いしてしまった。

    自分の中にいる「幼いビーマセーナ」は泣く。

    あのスヨーダナにまた触れたいと。

    ビーマは無意識に手を伸ばす。しかし花はそれを拒んだ。

    「!おい、待て!」

    スヨーダナはビーマから逃げる。その手を掴もうとビーマは手を伸ばすと、背後から殺気を感じ、振り向く。そこには巨大なカリが沢山押し寄せてきた。

    「!!」

    突如の敵に、ビーマは父より承った旗槍を出現させ、敵を貫いた。

    ガァアア

    カリの悍ましい断末魔が美しい桃源郷に響く渡ると、それは跡形もなく灰のように
    風に吹き飛ばされ消えていった。

    ビーマは振り返るが、もうスヨーダナはどこにも見当たらなかった。


    「ちっ」

    『ビーマ!応答してくれ!!』

    見失った獲物に舌打ちをすると、ダ・ヴィンチの声が聞こえた。
    彼女に自分の悪態は見られていないかと少し焦ったが、いつもの「爽やか」な笑みを見せた。

    「よ!どーした?」

    『君ねー。どーした、じゃないんだよ。今直ぐにマスターの所に行って!彼女
    、今護衛なしで一人なんだよ!』

    「あ“?あのトンチキ王子はどうした?まさかマスターを置き去りに逃げやがったのか?」

    ギュッと怒りで旗槍を掴むビーマにダ・ヴィンチは眉を上げる。

    『こーら、そもそも彼女を置き去りにしたのは君たちだろう?!
     ドゥリーヨダナはマスターを守っていたさ!でもそれも敵サーヴァントに連れて行かれたんだ」

    「連れて、行かれた…?」

    『ああ、君達は彼の事を知っているだろうね。「シャクニ」って奴さ』

    「…!!」

    ビーマは生前の記憶が蘇った。

    幼いスヨーダナがベタベタと懐いていた叔父。しかしその叔父は自分達を得に自分見るときは、まるで「存在」などしていないかのように見ていた(見ていなかった)



    「………シャクニなら、大丈夫だろう。アイツならドゥリーヨダナに危害は加えねぇよ。寧ろ、

    ドゥリーヨダナが俺達を裏切って、シャクニ側に付いたんじゃねぇか?」

    ビーマの言葉にダ・ヴィンチは言った。

    「そういう風には見えなかったんだけどねぇ」
    「それじゃそういう「演技」だったとか」
    「…んー、一応可能性としては入れておくよ。ともかく早くマスターの所へ向かってくれないか?」
    「ああ!」

    風のように爽やかな返答をすると、ビーマは少し名残惜し見ながら、その美しい花畑を後にした。
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