ライフ・ゴーズ・オン 果たしてそこに海はあった。
ある星に赴任した。
あの、全てがかけがえのない地獄のループを終え、諸々の煩雑な事後処理に追われた後、できすぎたタイミングで訪れた任務だった。
たとえ己の命を続けさせてくれたひとと永遠に別れても、命を失いかねない任務に就き続ける自分を、あの人は哀しむだろうか。私の人生を祝福したあの人の声色を記憶の中でたしかめるために、時間を捻出して、もう日も暮れる頃にたどり着いた。
本物の海はすこし生臭かった。ぬるい風と、西陽に曝露して髪がかき混ぜられる。
本当の君でなくて構わない。海を見るたびに思い出したいのだ。君のことを後生大事に抱え続けたい。これが君のかけた呪いだとして、私にとってはどうしようもなく祈りだったのだ。
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