担当地区に戻ると、緊張した面持ちの隊員が真っ直ぐに駆け寄ってきた。彼はいつも僕の言葉を届けてくれる、信頼できる存在だ。普段はよく通る声で話しかけてくるが、今はその声にわずかな震えが混じっている。
「ハル隊長、太陽が……」
「うん、わかってる」
僕は短く返事をしながら、廊下を進む。目的地は雑務を行う部屋。腰を据えて話す時間すら惜しい。未熟な自分には、誰よりも多くの時間をかけて考える必要がある。
「200名の隊員の確認と招集を頼む」
「……承知しました」
彼は一瞬の迷いもなく名簿を手に取り、足早に部屋を出て行った。その背中を見送りながら、僕は地図を広げる。紙に描かれた国全体の情勢が目に飛び込んでくる。
「ここがこうなって……この場合、僕はこう動いて……」
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